『ドラマなふたり』はカップルで観たくないけど観るべき映画 “知ってしまう”という呪い

『ドラマなふたり』はカップル観るべき映画

 リアルサウンド映画部の編集スタッフが週替りでお届けする「週末映画館でこれ観よう!」。毎週末にオススメ映画・特集上映をご紹介。今週は、海辺のウェディングに憧れる佐藤が『ドラマなふたり』をプッシュします。

『ドラマなふたり』

 皆さんは「これまでにやらかした最悪の行い」と言われて、何が思い浮かぶだろうか。

 『ドラマなふたり』は、たった一つの告白によって、結婚目前のカップルがどん底へと転がり落ちていく物語だ。ボストンで出会い、結婚を決めたエマ(ゼンデイヤ)とチャーリー(ロバート・パティンソン)。式を1週間後に控えたある夜、親友夫婦との食事の席で、4人は「これまでにやらかした最悪の行い」を披露し合うことになる。最初はちょっとした悪ノリだった。ところが、エマが明かした秘密によって空気は一変。それまで幸せそのものだった2人の関係に亀裂が入り、チャーリーは自分の知っているエマが、本当に彼女のすべてだったのかと疑い始める。結婚式まで、あと7日。ここから2人は見事なまでに泥沼へと突っ込んでいく。

 それにしても、こんなにもカップルで観たくない恋愛ドラマを作ってしまうとは。『パスト ライブス/再会』『マテリアリスト 結婚の条件』と、近年のA24が送り出してきた恋愛映画に心を掴まれてきた私にとって、本作もまた、観終わったあとまで尾を引く一本となった。

 秘密を告白することは、「すべてをさらけ出して、より深く分かり合う」という美しい行為だけではない。そもそも本作は、エマが口にした「これまでにやらかした最悪の行い」があまりにも最悪だったことから始まる物語だが、そもそも、それを大切な人と披露し合うことに、どんな意味があるのだろう。

 秘密を告白することは、自分が抱えてきたものを、相手にも背負わせることでもある。エマが秘密を口にした瞬間、それまでエマだけのものだった過去は、チャーリーの問題にもなった。彼は自分の知らなかったエマと向き合わなければならない。そしてエマは、自分の過去に向き合うチャーリーと向き合わなければならない。告白すれば秘密はなくなる。でも、問題までなくなるわけではない。むしろ、そこから始まるのだ。

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