『無伴奏ソナタ -The Musical-』再演で迎えた“進化” 平間壮一の涙が脳裏に焼きつく

『無伴奏ソナタ』再演で迎えた“進化”

 平間壮一が主演を務める『無伴奏ソナタ -The Musical-』が7月17日より東京・サンシャイン劇場にて再演を迎える。開幕に先駆けて、7月16日に取材会及び公開ゲネプロが開かれ、平間をはじめ共演の多田直人(キャラメルボックス)、真瀬はるか、熊谷彩春、長江崚行、西川大貴、演出の成井豊が取材会に姿を見せた。

 本作は、演劇集団キャラメルボックスの代表作として長年愛されてきた舞台『無伴奏ソナタ』の世界観をミュージカル化したもので、2024年の初演で大きな反響を呼んだ。原作はオースン・スコット・カードのSF短編小説で、すべての人間の職業が幼児期のテストによって決定される時代を背景に、音楽の天才として見出された男、新しい音楽を生み出す“メイカー”の役目を与えられたクリスチャン・ハロルドセンの壮絶な人生を描く。脚本・演出・作詞を手がける成井豊のほか、初演に続き、クリエイティブスタッフが再集結。クリスチャン役の平間、クリスチャンの生活を監視するウォッチャー役の多田直人が続投となっている。

 今回の再演において進化した部分を聞かれ、平間は話し合いを重ね「世界観がさらに深くなっている点」だと話す。演出の成井も平間のコメントを受け、「世界観がはっきり深く構築できた」と自信を見せながら、初演から細かい部分が変更になっていること、さらに「壮絶な物語なんだけども、日常の部分はすごく楽しくなりました」とアピールした。それはギャグを増やすといったユーモアをプラスするわけではなく、メンバーの仲の良さがそのまま作品に表れたかたちだ。

 物語は悲劇のシーンが中心にあるが、その“清涼剤”として1幕のバー&グリル、2幕のワイナリーのブドウ園でのシーンがある。バー&グリルの店主・ジョーを演じる西川は終演後、ビールを飲みたくなる非常に楽しい曲「仕事の後のビール」への意気込みをウェイトレスのリンダ役の熊谷とともに伝える。2幕ではギター弾きの作業員・ギレルモを演じる長江が、英語でギターを生演奏しながら歌唱する。「歌ったり踊ったり大暴れできたらいい」と気合い十分な長江は、ゲネプロ公演でもまっすぐな歌声を会場に響かせていた。真瀬が演じるハウスキーパーのオリビアは、クリスチャンにとっての母であり、姉であり、パートナーとなる存在。「女性性のいろんな面を含んだところが魅力的なキャラクター像」だと語る真瀬は1幕におけるキーパーソンだ。

 再演の特筆すべきポイントは、ウォッチャーが歌唱する「君はまっすぐに」が新曲として加わっていること。2幕のラストで、元々メイカーだったことを明かしたウォッチャーがクリスチャンへの思いを歌うナンバーだ。本作はあくまでクリスチャンを中心とした物語ではあるが、もう一つの軸としてウォッチャーにとっても物語を着地させるような音楽になっている。演じる多田は「僕もラストシーンの演じ方が自ずと変わってきまして、この変更点はまた違って感じ取っていただけるんじゃないかと期待しているところです」と解釈の仕方を明かした。

 またゲネプロを観ていて圧巻だったのは、平間の感情表現だ。音楽を演奏する、歌唱することの楽しさに満ち溢れていたクリスチャンだったが、度重なる悲劇に見舞われ、絶望していく。それでも微かな希望を見出す、クリスチャン=平間のその表情に心掴まれた。取材会でも「音楽や雰囲気を自分の体内に取り込んで表現するのがうまい天才」「心のひだがたくさんある」「クリスチャンは当て書き」だと絶賛されていたが、まさにクリスチャンを演じるべくして選ばれた役者という印象を抱く。平間の流す涙が伝播して、多田も感涙していたラストシーンが脳裏に焼きついて離れない。

 取材会の最後に平間は「人からどれだけ変わっていると言われようと、自信を持って好きでいていいんだということを僕は伝えたい」と話す。クリスチャンと同じく平間自身も小さい頃から変わってると言われる人生を送ってきた。思い悩むときもあったけれど、今では「ウォッチャーのように、たった一人でも同じような存在がどこかにはいる」とポジティブに捉えられるようになった。「絶対に一人じゃないという勇気を受け取ってくださると嬉しい」と平間はこれから観劇するファンへとメッセージを届けた。

 『無伴奏ソナタ -The Musical-』は7月17日より26日まで東京・サンシャイン劇場、8月8日、9日に大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホールで上演となる。

■公演情報
『無伴奏ソナタ -The Musical-』
東京公演:7月17日(金)~7月26日(日)サンシャイン劇場
大阪公演:8月8日(土)~8月9日(日) クールジャパンパーク大阪 WWホール
出演:平間壮一、多田直人、真瀬はるか、熊谷彩春、長江崚行、西川大貴、畑中智行、原田樹里、大久保祥太郎、西野誠、町屋美咲
原作:オースン・スコット・カード
翻訳:金子司
脚本・演出・作詞:成井豊
音楽:杉本雄治
企画・製作:ナッポスユナイテッド、AMUSE CREATIVE STUDIO
公式サイト:https://napposunited.com/sonatathemusical2026
公式X(旧Twitter):@mubansoumusical

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「レポート」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる