『告白』松村北斗の恋心は“純愛”か“狂気”か 『ファーストキス』『秒速』の経験が発揮?

いよいよ7月11日からドラマ『告白-25年目の秘密-』(日本テレビ系/以下、『告白』)の放送がスタートする。本作は幼い頃から25年間もの間、1人の女性に片思いを続けてきた主人公の恋心が、純愛と狂気の狭間で揺れ動くラブサスペンスだ。
『こっち向いてよ向井くん』(2023年/日本テレビ系)や『恋は闇』(2025年/日本テレビ系)など、一筋縄ではいかない恋愛ドラマを描いてきた渡邉真子が脚本を務め、『アンナチュラル』(2018年/TBS系)や『silent』(2022年/フジテレビ系)で劇伴を担当した得田真裕が音楽を手がける本作。制作陣にも実績のある顔ぶれが揃うなか、注目はやはり地上波連続ドラマ単独初主演を務める松村北斗だろう。

多くの人々を魅了してきた松村の繊細な芝居は、主に映画作品において輝きを放ってきた。三宅唱監督がメガホンを取った『夜明けのすべて』(2024年)では、PMS(月経前症候群)に苦しむ藤沢(上白石萌音)の同僚であり、パニック障害を抱えて生きる山添の葛藤に誠実に寄り添う。互いに生きづらさを抱えた2人の距離が徐々に縮まり、気の置けない会話を交わすようになるまで、優しくも温かなつながりをていねいに築き上げた。さらに、坂元裕二と土井裕泰がタッグを組んだ映画『ファーストキス 1ST KISS』(2025年)では、15年の時を経て変わってしまった夫婦生活の営みと硯カンナ(松たか子)との関係性を、20代と40代の姿を巧みに演じ分けて表現してみせる。

そんな彼が初主演の連続ドラマで演じるのは、幼い頃に出会った野瀬麻里子(岡崎紗絵)に25年間も片思いを続けている雪村爽太。内気で存在感の薄い彼が、高嶺の花である麻里子をひたすらに思うピュアなラブストーリーかと思いきや、予告映像では「僕は君の運命の人になるって決めたんだ」と狂気じみたトーンで呟く姿が映し出される。物語の背景にあるのは25年前に起きた凄惨な事件とそれぞれが抱える秘密。ストーリーが進んでいくにつれて、2人をつなぐパズルのピースが徐々に明らかになると予想されるが、雪村の片思いが純愛なのか狂気なのかは、最後の最後まであいまいに描かれるはずだ。どちらとも断定できない彼の内なる本心をいかにひた隠し、観ている視聴者を惑わすことができるのか。キャラクター像を固定させることなく、解釈の余地を残す難しいチャレンジになるのは間違いないが、二面性を思わせる役柄を松村が演じることに大きな期待を抱いてしまう。
元々、松村はどれだけ時が経っても一途に誰かを思い続ける役柄の複雑な心情を、ていねいに紐解きながら演じてきた俳優でもある。岩井俊二監督の映画『キリエのうた』(2023年)では、東日本大震災で行方不明となった婚約者を探す潮見夏彦の姿を、焦燥感と切迫感とともに演じた。小塚希(アイナ・ジ・エンド)の妹である路花(アイナ・ジ・エンド/一人二役)と再会して涙を流す場面では、これまで心に溜めていた後悔と謝罪の言葉が溢れ出す。彼の募る思いが痛いほど伝わるワンシーンだった。

そして、2025年に公開された『秒速5センチメートル』で主演を務めた際は、主人公である遠野貴樹の憧憬を実写の世界へと呼び覚ました。貴樹も小学生の頃に運命的な恋を経験したことで、あのときの時間を忘れることができず、今もなお彼女の残像を追いかけているキャラクター。色褪せない思い出と決して忘れることのない約束を握りしめて生きてきた青年の孤独は、影を背負った松村の佇まいにも滲んでいく。そして、どんな役柄を演じるときでも松村の声と表情に宿る儚さは、そのキャラクターのがらんどうのような心の内側を想像させる力がある。大切な過去の思い出を拗らせたまま、前に進めないでいた遠野の人生は、『告白』の雪村とも重なる部分が多々あるため、本作でも松村の真骨頂ともいえる芝居を堪能できるのではないだろうか。
映画作品での繊細な芝居に注目がいきがちな松村だが、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』(2021年度後期)や『西園寺さんは家事をしない』(2024年/TBS系)など、誠実な役柄でも印象に残る活躍を見せてきた。
『告白』で演じる雪村は裏表があるキャラクターであり、彼が秘める目的と思いの方向性はストーリーを大きく左右することになる。あらためて、主演として作品を支える立場になった松村が、大きな秘密を抱えた雪村というキャラクターに扮して、どのように物語を動かしていくのか。彼の新たな代表作ともいえるドラマが誕生するのかにも注目したい。
■放送情報
『告白-25年目の秘密-』
日本テレビ系にて、7月11日(土)スタート 毎週土曜21:00~21:54放送
出演:松村北斗、岡崎紗絵、塩野瑛久、佐々木希、久保史緒里、山下幸輝、谷恭輔、石山順征 、水野美紀、夙川アトム、丘みつ子、田中要次、石黒賢、玉山鉄二
脚本:渡邉真子
チーフプロデューサー:江成真二
企画・プロデューサー:青木泰憲
プロデューサー:鈴木努、田上リサ
監督:堀江貴大、鈴木浩介、片山雄一
音楽:得田真裕
主題歌:SixTONES 「マイオンリー」(Sony Music Labels)
制作プロダクション:AXON
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/kokuhaku/
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