『ブギウギ』後も引く手あまた 『世にも奇妙な物語』『大空港』へ続く趣里の快進撃

趣里が主演を任され続ける理由

 夏至を迎え、本格的な夏の到来が目前のこの時期の風物詩といえば、雨傘に紫陽花……も当然そうなのだが、やはり一番は、21時にお茶の間に現れるタモリ。そう、『世にも奇妙な物語』(フジテレビ系)の放送である。2026年の『世にも奇妙な物語 ’26夏の特別編』でも4つの新エピソードが披露されるようで、その中でもとくに気になるのが『実家じまい』というタイトルの作品。主演を務めるのは趣里である。

『世にも奇妙な物語 ’26夏の特別編』©︎フジテレビ

 本作で趣里が演じるのは、30代の会社員・夏目沙耶。彼女は唯一の家族であった母・恵美子(佐伯日菜子)の葬儀を終え、実家じまいをすべく古い団地にやってきた。沙耶は過干渉だった母への忌まわしさを思い出し、彼女が手作りした品々も処分する。しかし、ゴミに出した品々は、「捨てるな!」「バチあたり!」という貼り紙とともに家に戻されてしまうのだという。

 なんとも気味の悪い話だ。母と近隣住民たちの間に、何か特別な関係性が築き上げられているということなのだろう。沙耶も沙耶で、唯一の家族が亡くなったというのに、その人物に対して“忌まわしさ”を抱いてしまうというのは、彼女と母親の関係性はよほど変わったものだったのだろう。そんな彼女の元に、母の友人である松野さとみ(伊勢志摩)が現れては、手作りのクッキーをくれるらしい。そしてその味が、かつて母が作ってくれたものと同じ味だと沙耶は気づく。これに対して異常なまでに松野は喜ぶのだという。なんとも気味の悪い話だ。

『世にも奇妙な物語 ’26夏の特別編』©︎フジテレビ

 趣里が『世にも奇妙な物語』で主演をするのは、これがはじめてのこと。彼女は本作の台本を手にした際の印象について、人間の怖さにゾクっとするホラーだと出演発表時のコメントで述べている。そして、これは親子の物語でもあるから、誰にでも起こり得る話でもあるとも。

 彼女は沙耶というキャラクターについて、「一見落ち着いた冷静な人物のようでありますが、逃げたいけど逃げ切れない想いや、どこかに母親に対する愛を捨てきれない気持ちを抱えています」と語っている。誰にでも起こり得るシチュエーションの中で、趣里は沙耶という人間の複雑さを表現しなければならないのだろう。唯一の家族が亡くなるというのは、残される者にとって非常に大きな出来事だ。そして沙耶はその母に対して、特別な感情を抱いている。これを表現するだけでも相当に大変なはずだが、これに加えて、気味の悪い出来事や人物に翻弄されるさまも表現していかなければならない。

 しかしだからといって、これを2時間の長編映画の中で演じるわけではない。約2時間の尺の中で語られる4つのエピソードのうちのひとつだから、趣里はこのフォーマットに適した演技を実践しなければならないわけだ。15分尺の連続ドラマである朝ドラ『ブギウギ』(2023年度後期/NHK総合)で主演を務めた経験もある彼女の、本領発揮の場にもなるのではないだろうか。

『Piccola felicità(ピッコラ・フェリチタ)~小さな幸せ~』©TrysomeBros.

 2025年の趣里の露出はごくかぎられたものだったが、2026年はまたすごい勢いだ。1月1日の『教場 Reunion』(Netflix)の配信開始にはじまり、同作の「後編」となる『教場 Requiem』が全国の劇場で封切られ、父・水谷豊の監督としての最新作『Piccola felicità〜小さな幸せ〜』が上映中で、本日からは「新しい地図」による映画『バナ穴 BANA_ANA』の公開となる。そして、『世にも奇妙な物語』に初登場するのに続き、7月からは主演ドラマ『大空港〜GATE24〜』(テレビ朝日系)の放送がはじまる。

 この俳優がどれだけ作り手たちから信頼され、観客/視聴者に愛されているか、強く実感する日々だ。思えば、『世にも奇妙な物語』で主演を担うのはいつも、力のある演技者の中でも国民的な存在だ。彼女はまさにその位置に立っている。『実家じまい』が世に出ることが、その証となるに違いない。

■放送情報
土曜プレミアム『世にも奇妙な物語 ’26夏の特別編』
フジテレビ系にて、6月27日(土)21:00~23:10放送

『遺体は一体……』
出演:上川隆也、髙橋洋、樋口幸平ほか
脚本:我人祥太
演出:紙谷楓

『実家じまい』
出演:趣里、佐伯日菜子、伊勢志摩ほか
脚本:吉井三奈子
演出:松木創

『おじさんになりたい』
出演:永尾柚乃、松尾諭、姜暢雄、映美くららほか
原作:やうやうと『おじさんになりたい』(トーチweb)
脚本:寺腰玄
演出:淵上正人

『マザーズオークション』
出演:杉野遥亮、青木さやか、大堀こういち、大水洋介(ラバーガール)、名村辰ほか
脚本:伊達さん
演出:細川徹

ストーリーテラー:タモリ
音楽:蓜島邦明
プロデュース:狩野雄太(フジテレビ)、江花松樹(フジテレビ)、村木美砂、髙丸雅隆
制作:フジテレビ
制作著作:共同テレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/kimyo/
公式X(旧Twitter):https://x.com/yonimo1990

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