『Michael/マイケル』が示した“父”との確執と栄光 ライブ音源で描かれる“独り立ち”

『Michael/マイケル』が示した父との確執

 映画『Michael/マイケル』のほかに、マイケル・ジャクソンを題材にした映像作品はこれまでにもあった。1つはマイケルが急死した約4カ月後に公開された『マイケル・ジャクソン THIS IS IT』。幻となったツアー『THIS IS IT』のリハーサル映像を中心に、参加予定だったダンサーやミュージシャンなどのコメントを交えながら構成された、言わばマイケル・ジャクソンの“すごさ”に視点を置いた作品。ドキュメンタリー映画として歴代1位の興行収入を記録した。

 もう1つはドキュメンタリー番組『マイケル・ジャクソン:最後のカーテンコール』だ。マイケルの訃報という衝撃的なニュースに始まり、常にゴシップに悩まされたマイケルのスキャンダラスな側面にも触れながら、彼の真実の姿に迫ったもの。当時放送された多くのニュース映像や客観的な意見が使用され、社会的な側面からマイケルを追った作品だったと言える。

 今作『Michael/マイケル』は、そのどちらでも取り上げられていなかった、家族との関わり、特に父親ジョセフ・ジャクソンとの確執を中心に描かれた伝記映画となっている。マイケル役を、ジャクソン5のメンバーでもあったジャーメイン・ジャクソンの息子ジャファー・ジャクソンが務めたほか、マイケルの息子であるプリンス・ジャクソンがエグゼクティブ・プロデューサーを務め、実母キャサリンもバックアップに加わるなど、(父親と妹のジャネット・ジャクソンを除く)ジャクソンファミリーが総出で制作に関わった。

 ジャクソン家の男兄弟で結成された“ジャクソン5”(後にジャクソンズ)のメインボーカルとして、「ABC」をはじめ多くの楽曲を全米1位に送り込むなど、幼少期から天賦の才を発揮したマイケル・ジャクソン。映画では、マイケルの美しいハイトーンボーカルに、人々が魅了されていく様子がありありと映されていく。子ども時代のマイケルを演じたジュリアーノ・ヴァルディが非常にかわいらしく魅力的で、映画館で彼に魅了されてしまった観客も多かっただろう。かわいいといえばマイケルの親友である、チンパンジーのバブルスくんも登場する。

 ジャクソン5の活動を通じて、自身の才能と天命に気づいたマイケルは、ソロアーティストとしての夢を抱き始める。その一方で次第に孤独感を強め、ジャクソン5を世に送り出した実父・ジョセフの締めつけが厳しくなるなど、私生活には暗い影を落とし始める。ジョセフは家族を暴力で支配しており、兄弟や母親も逆らうことができなかった。マイケルは幼い頃から友達と遊ぶことも許されず、口答えしようものならどんな罰が待っているか分からなかった。ジョセフ役のコールマン・ドミンゴの顔がスクリーンに映るだけでムカムカするほど、見事に嫌なヤツを熱演している。それだけに、ジョセフに決別宣言をするシーンは実に爽快だ。

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