『素晴らしき新世界』の“神キス”に世界が熱狂 ホ・ナムジュンが放つ甘美な色気と吸引力

ホ・ナムジュンという俳優を語るとき、「引き算の演技」という言葉が思い浮かぶ。足す演技は分かりやすい。感情を表情に乗せ、声量で伝え、身体全体で表現する。しかし、引く演技は難しい。感情を抑えれば抑えるほど、その抑圧の存在を逆説的に浮かび上がらせなければならないからだ。ホ・ナムジュンは、瞳の微細な揺れだけで、すべてを語る。ソリとの対話シーンでセゲの目が一瞬だけ止まる瞬間、その0.5秒の揺れが、それまでの無表情の積み重ねの重さによって画面上で異様なほどの引力を帯びる。説明過多にならないその「引き算の演技」がチャ・セゲというキャラクターを単なる御曹司から、生身の感情を隠し持つ危うい存在へと押し上げているのだ。

ホ・ナムジュンが引き算の演技なら、イム・ジヨンは足し算の演技ともいえるだろう。相手を大声で威嚇し、オーバーリアクションで感情の起伏が激しいソリ。チャ・セゲからは冷たく青い炎が、ソリからは、真っ赤な炎が立ち昇っているかのような対極の熱を帯びている。その2人の炎が繰り出すケミは、極上のラブコメとして観る者を飽きさせずに惹きつける。
第6話までの中で、世界中の視聴者を沸かせているのは、歴代級のあまりにもロマンティックな「神キスシーン」だ。ソリに一度は振られながらも、彼女にどんどん惹かれていくセゲは、一大勝負を仕掛ける。「警告するぞ、俺は勝負に出る、逃げたければ今のうちだ(ソリの口元を見つめながら……!)」とカウントし始めるセゲ。動かなければ受け入れるという無言の駆け引き。ソリが動かないことを確かめ、セゲが愛おしそうに唇を近づけた、まさにその刹那、彼女は思わず立ち上がってしまう。
その瞬間、セゲが見せた表情が、ホ・ナムジュンという役者の凄みを物語る。確信が揺らぎ、仕掛けたはずの男が一瞬だけ見せる、傷ついたような、そして酷く恥じ入るような、何とも言えない繊細な拒絶の痛み。完璧な男の中に覗くそのむき出しの脆さに、胸が締め付けられる。
すべてを諦めたように、静かにその場を去ろうとするセゲ。だがその腕をソリが強く掴んで引き留める。振り返って、ソリを見つめたセゲの瞳には、迷いや脆さが消え、彼女の気持ちを確かめるように「君が先に握った」と告げ、ソリの瞳の奥を読み解くように見つめて手首にキスをする! 一瞬にしてホ・ナムジュンの圧倒的な覇気と色気と覚醒の、鋭く甘い眼差しに、観る者の息の根も止まりそうな瞬間。彼は、掴まれたその手をぐっと引き寄せソリの怪我をした手首へとそっと唇を寄せる。傷を労わるような、しかし抗えない彼女への思いを孕んだ耽美でピュアな手首キス。そこから一筋の迷いもなく、ソリの唇を奪い去る。この一連の心理戦で魅せたホ・ナムジュンの圧巻の眼差しの芝居は、観る者のハートも奪い去っていく。

チャ・セゲという「鋭く甘美なトリガー」の存在は、張り詰めた緊張感から甘く軽やかなロマンスへと視聴者を引きずり込む強磁力を放っている。ホ・ナムジュンが持つあの独特の、静かなのにすべてを射抜くような「瞳の力」。彼が本作で自らのポテンシャルを最大に引き出した財閥御曹司のチャ・セゲは、間違いなく財閥ドラマ界で歴代級キャラクターとして名を残すだろう。私たちはもう、あの生卵を遮った真っ黒な傘の内側へと、引きずり込まれている。気づいたときには、もう遅い。彼の冷徹な仮面の内側にある、恋する少年のようなはにかみや、微笑み、独占欲、鋭い眼差しの奥にあるピュアな眼差しと本当の笑顔を見てしまったから。
参照
※ https://www.netflix.com/tudum/top10/tv-non-english?week=2026-05-10
■配信情報
『素晴らしき新世界』
Netflixにて配信中
出演:イム・ジヨン、ホ・ナムジュン、チャン・スンジョ
制作: ハン・テソプ、キム・ヒョヌ、カン・ヒョンジュ




















