『田鎖ブラザーズ』の真実を知る面白さと怖さ “犯人候補”が消えたことで浮かび上がる謎

『田鎖ブラザーズ』の真実を知る面白さと怖さ

放火殺人事件が突きつける「違う角度からの視点」

 両親殺害事件と辛島金属工場の火災は連動しているのだろうか。津田とふみとがつながった今、まったくの偶然で起きた連鎖とは思えなくなってきた。そうさせるのは、真が担当した放火殺人事件のせいかもしれない。

 火を放たれ亡くなった水澤愛子の家には、金塊が隠されていた。それは1年前に、秋田県で起きた4億円金塊強奪事件で奪われたものと一致した。彼女につきまとっていたとされる男「東郷」も、その実行犯4人組のひとりだった可能性が高まる。

 水澤の出身地も秋田。そして、父親が詐欺と傷害で服役中。母親はすでに他界しており、親戚とも疎遠。身元確認は取れていないというのも引っかかる。なぜなら私たちは、“元牧村”の事件で現場に遺された身分証が必ずしも本人を証明するものではないという前例を知ったから。「東郷」と呼ばれている男についても同様だ。そして身元を偽りながらも愛を求めるのが人間だということ。さらには、罪を犯してでもその愛を貫こうとする人がいることも。

 きっとこの放火事件を通じて、また私たちは一つの面からは気づけなかった真実を突きつけられることになるのだろう。そして、その気づきの先には、兄弟の両親殺害事件を違う角度から見つめる視点が見つかるのではないだろうか。ふみの連絡先を、なぜ津田は持ち歩いていたのか。そして、真の動きを単に部下を注視する上司の目線とはまた違った眼差しを向ける係長・小池俊太(岸谷五朗)も気になるところだ。

 「鎖の噴水現象」と呼ばれる物理現象がある。ボールチェーンが入れ物から引きずり出されると、見えない何かに吸い取られるように、その入れ物の縁を越えて噴水のごとく高く立ち上がるというもの。鎖のように繋がったそれぞれの真実が一気に引きずり出されるとき、その盛り上がりは私たちの想像という入れ物の枠を優に越えていくのだろう。その瞬間が訪れるのが、今から楽しみでもあり、そして怖くもある。

■放送情報
金曜ドラマ『田鎖ブラザーズ』
TBS系にて、毎週金曜22:00~22:54放送
出演:岡田将生、染谷将太、中条あやみ、宮近海斗、和田正人、飯尾和樹(ずん)、長江英和、山中崇、仙道敦子、井川遥、岸谷五朗
脚本:渡辺啓
音楽:富貴晴美
主題歌:森山直太朗「愛々」(ユニバーサル ミュージック)
演出:山本剛義、坂上卓哉、川口結
プロデュース:新井順子
撮影監督:宗賢次郎
編成:高柳健人、吉藤芽衣
製作:TBSスパークル、TBS
©TBSスパークル/TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/TAGUSARI_bros/
公式X(旧Twitter):@tagusari_tbs
公式Instagram:tagusari_tbs
公式TikTok:@tagusari_tbs

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