『ブギウギ』から『九条の大罪』の“影のMVP”へ 黒崎煌代の進化が止まらない

2025年、第78回カンヌ国際映画祭に出品された『見はらし世代』では、映画初主演を果たした。10年間の家族の変遷を移りゆく渋谷の街に重ね、喪失感を描き出した本作。極力台詞を削ぎ落としたシーンを重ねながら、母を死に追いやった父・初(遠藤憲一)に向ける主人公・蓮の眼差しを、黒崎が緻密に表現している。ネタバレを避けるが、あるシーンで蓮が父親に向ける「憎しみと諦観と呆れの果ての、新たな感情の芽生え」を表した「笑顔」が白眉であった。
黒崎煌代が“何もしない”芝居でさらなる高みへ “本物”の団塚唯我監督から得たもの
映画『見はらし世代』で初の映画単独主演を務め、カンヌ国際映画祭の地を踏んだ俳優・黒崎煌代。デビューから着実にキャリアを重ねる彼が…湊かなえの同名小説をドラマ化した『人間標本』(2025年/Prime Video)では、ダイナミックな絵の才能を発揮する石岡を演じた黒崎。エネルギーに満ち溢れた自信家でありながら、バックグラウンドにある闇ゆえの狂気を克明に表してみせた。
心の奥底に何かしらの闇を抱える役を得意とする黒崎だが、その一方で「今どきの普通の若者」も演じてみせる。『地震のあとで』(2025年/NHK総合)2話「アイロンのある風景」では、鳴海唯演じる順子と半同棲生活を送る、サーフィンとギターが趣味のチャラい大学生・啓介を好演した。軽いけれど、恋人の心の傷を見逃さず寄り添おうとする啓介の優しさを、そっと表現していた。
さらに、「主人公の親友で、心優しいムードメーカー」的な役どころもお手のもの、といった感がある。『今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は』(2025年)で演じた山根、『ストロベリームーン 余命半年の恋』(2025年)で演じたフーヤンは、「青春物語の中にいる友達のひとり」では終わらせない存在感を発揮していた。やり方によっては「記号」になってしまいそうな役柄でも、観る者に人物の背景を感じさせつつ、きっちりと爪痕を残すのが黒崎だ。

2025年はドラマ・映画・舞台と、8作品にも出演した黒崎だが、2026年も快進撃が止まらない。前述の『九条の大罪』のほかに、工業高校でくすぶる高校生たちが一攫千金を狙う『万事快調〈オール・グリーンズ〉』、深い森の中を舞台に人間の業を描き出した『脛擦りの森』など、話題の映画に続けて出演。『ドライブ・マイ・カー』の濱口竜介監督が手がけた『急に具合が悪くなる』にも出演し、公開を6月に控える。
4月13日から放送開始するフジテレビ月9枠『サバ缶、宇宙へ行く』では、「宇宙食サバ缶」の開発に携わる水産高校生徒・寺尾を演じる。民放連続ドラマへの出演は初となる黒崎だが、きっとまた新たな演技の引き出しを披露してくれることだろう。
今年24歳。まだ若手ながら、確かなプロフェッショナリズムを確立している黒崎煌代は、将来日本のエンタメ界の重要人物となりそうで、今から目が離せない。
■配信情報
Netflixシリーズ『九条の大罪』
Netflixにて世界独占配信中
出演:柳楽優弥、松村北斗、池田エライザ、町田啓太、音尾琢真、後藤剛範、吉村界人、水沢林太郎、田中俊介、黒崎煌代、石川瑠華、原田泰雅(ビスケットブラザーズ)、吉田日向、 川﨑皇輝、佐久本宝、和田光沙、水澤紳吾、福井晶一、氏家恵、六角慎司、諏訪珠理、奥野壮、うらじぬの、前原瑞樹、遊井亮子、長尾卓磨、田辺桃子、森田想、杢代和人、岩松了、渡辺真起子、菊池亜希子、長谷川忍(シソンヌ)、香椎由宇、光石研、仙道敦子、生田斗真、ムロツヨシ
原作:真鍋昌平『九条の大罪』(小学館『週刊ビッグコミックスピリッツ』連載中)
監督:土井裕泰(TBSテレビ)、山本剛義(TBSスパークル)、足立博
脚本:根本ノンジ
音楽:O.N.O
主題歌:羊文学「Dogs」(F.C.L.S. / Sony Music Labels)
プロデューサー:那須田淳(TBSテレビ)
エグゼクティブプロデューサー:髙橋信一(Netflix)、杉山香織(TBSテレビ)
制作協力:TBSスパークル
製作著作:TBSテレビ
配信:Netflix























