秋元康の“過剰な”企画力はどちらに転ぶか 『10回切って倒れない木はない』への期待

秋元康の“過剰な”企画力はどちらに転ぶか

 予告編を見ると、志尊淳の肌に瑞々しい透明感があり、全体的にニュアンスのあるふんわり仕上げ。あとはどれだけ素敵なロケ地で撮影できるか。不況下の日本でどれだけリッチ感が出せるかにかかっているだろう。発想がイケてるだけでなく、関わるクリエイティブスタッフにどれだけ才能のある人を集められるかが勝負になってくる。

 秋元康が頭角を現してきた1980年代は、日本がバブルで、お金にも人にも余裕があった時代。祭りの熱気に乗って企画をどんどん当ててきたのが秋元だ。放送作家として数々のバラエティ番組に参加し、作詞家として多くの大ヒット曲を生み出し、プロデューサーになって、多岐にわたる巨大企画を手掛けてきた。バラエティ、アイドル、ミステリー、ホラー……日本の大衆文化の波の頂点を渡ってきたわけだが、日本の元気がなくなってきているいま、すべての仕掛けが当たっているというわけではない。むしろ、量産しすぎて飽和状態になっている感もある。2022年なんて8本も原案・企画作がある。『あなたの番です』効果ありすぎだろう。

 2020年代に量産された秋元康企画のドラマを振り返ると、斎藤工が謎のカリスマを演じた『漂着者』(テレビ朝日系)、恋人が病院で事件に巻き込まれるミステリーで、マンションが病院に変わった印象の『赤いナースコール』(テレビ東京)、10歳の天才医師とその代理人から成る天才外科医チームの活躍『Dr.チョコレート』(日本テレビ系)などがある。個人的には『漂着者』のヘンなスケール感はおもしろく見たし、『Dr.チョコレート』のブラック・ジャックの子ども版みたいな建付けにチョコレートをプラスしたセンスも嫌いじゃなかったのだが……。

 こうして見ると、秋元康ドラマにはどの企画もちょっと過剰なところがあって、それが当たるか当たらないかは時の運なのかなとも感じる。共通するのは、鉄板のミステリーでもホラーでも医療ものでも恋愛ものでも、そこに何かしら独自性のある、過剰でやや違和感を覚えるものを投入すること。失敗をおそれずトライをし続けること、絶え間なくアイデアを出し続けること、それはまさに「10回木を切り続けること」なのかなと思う。

 今期はフジテレビ系の火曜21時枠でも秋元康が企画・原案を手がけるドラマ『夫婦別姓刑事』が放送される。こちらは佐藤二朗と橋本愛が夫婦別姓でバディを組んでいる刑事ものだ。タイトルが単純明快で、現代社会問題にも切り込んでいる。純愛ドラマが当たるか、夫婦別姓が当たるか、どちらも当たるか、この春の秋元康企画がいまの日本を映し出す。

■放送情報
『10回切って倒れない木はない』
日本テレビ系にて、4月12日(日)スタート 毎週日曜22:30~放送
出演:志尊淳、仁村紗和、京本大我、長濱ねる、キム・ドワン、キム・ジュリョン、オ・マンソク、でんでん、田辺誠一
企画:秋元康
脚本:川﨑いづみ、松島瑠璃子
音楽:はらかなこ
演出:小室直子、内田秀実
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:島ノ江衣未、本多繁勝
音楽:はらかなこ
制作協力:AX-ON
製作著作:日本テレビ
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/10kaikitte/
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