『GIFT』『夫婦別姓刑事』の予習としても必見? 『爆弾』佐藤二朗×山田裕貴“圧巻の心理戦”

2025年に劇場公開され、大ヒットを記録した映画『爆弾』。『このミステリーがすごい! 2023年版』(宝島社)などで1位に輝いた、呉勝浩の同名ベストセラー小説の映画化で、山田裕貴が主演を務めた本作が、Netflixにて配信されている。すると、劇場公開時と同様、再び大きな話題を呼んでいる。『爆弾』は、なぜここまで観る者を引き付けるのか? その魅力を紐解いてみたい。
映画は、「スズキタゴサク」と名乗る中年男の取り調べシーンから始まる。スズキは、酔って自販機と店員に暴行を働き、警察に連行された。霊感が働くというスズキは、都内に仕掛けられた爆弾を“予知”したと語り、実際に秋葉原で爆破が発生。この後も1時間おきに3回爆発すると予知するスズキだが、刑事たちの質問に対してのらりくらりとかわすばかりで埒が明かない。やがて、スズキは爆弾に関する謎めいた“クイズ”を出し始める。

冒頭から、スズキを演じる佐藤二朗の存在感が半端なく、瞬く間に引き込まれていく。これまで、佐藤はさまざまな作品で幅広い演技を見せてきたが、本作ではちょっとふざけた雰囲気を出しつつ、底知れぬ恐ろしさを秘めている、正体の分からない謎の中年男を体現。この役は佐藤にしか演じられないと思わせる、彼の真骨頂が発揮されている。わざとバカなふりをして、相手をイラつかせるスズキの話し方や表情を、佐藤は巧みに演じている。
刑事たちがスズキの術中にはまる中、山田が演じる主人公・類家が登場する。もじゃもじゃの天然パーマヘアに丸メガネ、スニーカー姿の類家のビジュアルは異色だが、彼こそが真打ちで、天才的な頭脳によってスズキの上をいくことを期待させ、物凄くワクワクさせられ た。警視庁捜査一課・強行犯捜査係の刑事である類家は、スズキの口を割らせようと取り調べを開始する。類家の早い口調は賢いキャラクターそのもので、スズキとは全く違うが、相手をイラつかせるという意味では共通している。2025年は『爆弾』以外に『ベートーヴェン捏造』『木の上の軍隊』の映画に主演した山田だが、本作の類家役は、観客の心をとらえる強烈な人物で、佐藤に匹敵する大きな存在感を感じることができた。

ただ、本作で佐藤が観客に植え付けた“異物感”は、まさに日本一だと思う。その高い演技力で、佐藤が第49回日本アカデミー賞最優秀助演男優賞を受賞したことに、誰もが納得したに違いない。日本映画史上、最も記憶に残る怪演の1つと言っても過言ではないだろう。授賞式での、日本映画について愛を込めて語った佐藤の熱いスピーチも、大きな注目を集めた。





















