『風、薫る』ザ・たっちの“あ・うんの呼吸”が“朝ドラ”を彩る ドラマ界で重宝される双子役

見上愛と上坂樹里がダブル主演を務めるNHK連続テレビ小説『風、薫る』が3月30日からスタート。早くも話題沸騰の本作だが、第2週の予告に登場し、SNSで注目を集めた出演者がいる。双子お笑いコンビのザ・たっち(たくや、かずや)である。
本作は、生きづらさを抱えた一ノ瀬りん(見上愛)と大家直美(上坂樹里)が、当時まだ知られていなかった看護の世界に飛び込み、奔走する物語だ。第2週では、りんが奥田亀吉(三浦貴大)と結婚。その結婚式の場面にて、たくやとかずやが柴田屋と松永屋役で登場し「どっちが柴田屋か分かっかい?」と問うて場を盛り上げていた。そのシーンを見た視聴者から「ザ・たっち!?」「まさか」と、驚きの声が相次いでいる。
今回、なぜザ・たっちが出演することになったのか。それは、二人の出身地に秘密があるらしい。

主人公の一人・りんは栃木県在住。本作には、つぶやきシローや大島美幸(森三中)など、同県にゆかりのある芸人も多く出演しており、同じく栃木県出身のザ・たっちにも白羽の矢が立った。
というのも、特にりんのパートにおいては栃木弁が重要なファクターを担う。俳優陣も巧みに栃木弁を操って演技をしているが、やはり地元出身者が放つ「生きた言葉」の説得力は圧倒的で、作品の世界観に深い奥行きを与えている。ザ・たっちの二人も同県出身のため、その点の心配はなく、むしろ作品のリアリティに寄与しているといえる。
ザ・たっちは2003年にデビュー。「ちょっと!ちょっとちょっと!」「幽体離脱~!」など双子ならではのギャグで一世風靡し、情報番組『ラジかるッ』(日本テレビ系)のお天気カメラや、『それって!?実際どうなの課』(中京テレビ・日本テレビ系)、『巷のウワサ大検証!それって実際どうなの会』(TBS系)の検証企画などでも知られる芸人である。
近年では、ダイタク、吉田たち、Dr.ハインリッヒなど、実力派双子漫才師が台頭しているが、“00年代”の双子芸人はザ・たっちの一人(=二人)勝ち。ユニゾンツッコミや入れ替わり系のネタなどでバラエティでも活躍した。
そんな彼らが見せる双子ならではの空気感は、ドラマにおいても独自のスパイスとして機能しており、上戸彩主演の『アテンションプリーズ』(2006年/フジテレビ系)、櫻井翔や北川景子が出演した『謎解きはディナーのあとで』(2011年/フジテレビ系)、『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』(2018年/テレビ朝日系)など、スポット出演が多い。バラエティで培った双子の記号性は、ドラマ界でも重宝されている、というわけだ。
制作者や長年彼らを観てきた視聴者にとって「双子芸人=ザ・たっち」という共通認識は、もはや盤石な土台となっている。双子特有の息の合ったかけあいは、コミカルな演出を具現化しやすく、キャスティングの筆頭に挙がるのも頷ける。二人は「ザ・たっちが出てくれるならこんなやりとりを描こう」と作り手の想像力を即座に掻き立てる存在なのである。
この「名前が出た瞬間に完成図が見える」という安心感は、代わりのきかない強力な武器だ。単なる双子芸人という枠を超え、演出の「正解」を保証するアイコンとして確立されているのは、彼らが積み上げてきた大きな強みだといえる。

今回、『風、薫る』で朝ドラ初出演を果たすザ・たっち。“にぎやかし”には留まらない双子という個性を活かした彼らがどう物語に彩りを添えるのか。二人がひとつとなったときに放つ強力な個性が朝ドラとどうマッチするのか。そして、栃木の空気感を知るたくやとかずやが、明治時代の雰囲気にいかに溶け込むのか、注目が集まる。
ザ・たっちの「あ・うんの呼吸」が、朝の茶の間に“心地よい風として薫ること”を期待したい。
■放送情報
2026年度前期 NHK連続テレビ小説『風、薫る』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00~8:15放送/毎週月曜~金曜12:45~13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜8:15~9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30~7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:見上愛、上坂樹里
脚本:吉澤智子
原案:田中ひかる『明治のナイチンゲール 大関和物語』
制作統括:松園武大
プロデューサー:川口俊介
演出:佐々木善春、橋本万葉ほか
写真提供=NHK





















