『プロジェクト・ヘイル・メアリー』北米V2、世界興収3億ドル突破 ホラー映画人気に異変も

『プロジェクト・ヘイル・メアリー』北米V2

 第3位にはワーナー・ブラザースが放つ新作ホラー映画『ゼイ・ウィル・キル・ユー』が初登場。しかしながら、週末興収は北米2778館で500万ドルとかなり渋く、事前に期待されていた800万ドルには及ばなかった。

 『デッドプール2』(2018年)や『ジョーカー』(2019年)のザジー・ビーツ主演で、ニューヨークの高級マンションを舞台に、雇われメイドが悪魔崇拝者の住人たちと戦う脱出型ホラーアクション。『ハリー・ポッター』シリーズのトム・フェルトン、パトリシア・アークエット、ヘザー・グラハムらが共演し、監督・脚本はキリル・ソコロフが務めた。

『ゼイ・ウィル・キル・ユー』©2026 Warner Bros. Ent. All rights reserved

 世界興収は900万ドル。製作費は2000万ドルと低予算だが、劇場興行での回収は厳しい推移だ。ワーナーは『罪人たち』や『ファイナル・デッドブラッド』、『ウェポンズ/WEAPONS』と2025年はホラー映画のヒット作を連発したが、今年は『ザ・ブライド!』に続いて苦戦を強いられている。本作に関しては、ワーナーを買収するスカイダンス社のデヴィッド・エリソンがプロデュースを務めている点でもかなりつらい結果だ。

 Rotten Tomatoesでは批評家スコア65%・観客スコア80%、映画館の出口調査に基づくCinemaScoreでは「B-」と、賛否が分かれやすいホラージャンルとしては必ずしも悪い評価ではない。それでも苦しい結果となったのは、ホラー映画をめぐる市場状況が影響を与えているのではないか。なんと北米では、14週連続で新作ホラー映画(あるいはホラーに近いスリラー映画)が公開されつづけているのである。

 今週は『ゼイ・ウィル・キル・ユー』だけでなく、公開2週目の『Ready or Not 2: Here I Come(原題)』も北米興収1627万ドル、世界興収累計2347万ドルと同じく苦戦。どちらもスラッシャーホラーであり、『プロジェクト・ヘイル・メアリー』とも客層が競合したようだが、それ以上に供給過多がホラージャンル自体の需要を削いでいる可能性は高い。

 2025年のワーナーの快進撃だけにとどまらず、一時はホラー映画がハリウッドの興行不振を支えていた。しかしながら、今年の興行傾向は“ホラーの季節”が終わりに近づいていることを示唆しているようにも見える。『プロジェクト・ヘイル・メアリー』や『私がビーバーになる時』のように、ファミリー層が劇場に戻り、イベント性の高い作品に注目が集まる傾向は顕著だ。

 ワーナーは今年、ブラムハウス製作による『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』も4月に北米公開を控えている。なお、日本では『ゼイ・ウィル・キル・ユー』は5月8日、『THE MUMMY/ザ・マミー 棺の中の少女』は5月15日と、ホラーファンに焦点を当てた連続公開戦略だ。

『私がビーバーになる時』©2026 Disney/Pixar. All Rights Reserved.

 第2位『私がビーバーになる時』は北米興収1億3855万ドル、世界興収2億9755万ドルで、2026年のハリウッド映画としては『プロジェクト・ヘイル・メアリー』に次ぐヒット。公開4週目の段階で、同じくピクサー映画『マイ・エレメント』(2023年)の成績を25%上回っており、新たなフランチャイズ化への期待も高まる。第4位『Dhurandhar: The Revenge(英題)』は北米興収2276万ドルで、インド映画の北米記録を更新した。

北米映画興行ランキング(3月27日~3月29日)

1.『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(→前週1位)
5453万ドル(-32.3%)/4077館(+70館)/累計1億6430万ドル/2週/Amazon・MGM

2.『私がビーバーになる時』(→前週2位)
1220万ドル(-31.5%)/3650館(-25館)/累計1億3855万ドル/4週/ディズニー

3.『ゼイ・ウィル・キル・ユー』(初登場)
500万ドル/2778館/累計500万ドル/1週/ワーナー

4.『Dhurandhar: The Revenge(英題)』(↓前週3位)
474万ドル(-52.7%)/987館/累計2276万ドル/2週/Moviegoers Entertainment

5.『Reminders of Him(原題)』(→前週5位)
470万ドル(-41.3%)/3181館(-260館)/累計4107万ドル/3週/ユニバーサル

6.『Ready or Not 2: Here I Come(原題)』(↓前週4位)
400万ドル(-55.9%)/3010館/累計1627万ドル/2週/サーチライト・ピクチャーズ

7.『Scream 7(原題)』(↓前週6位)
260万ドル(-39.9%)/2345館(-215館)/累計1億1867万ドル/5週/パラマウント

8.『GOAT(原題)』(↓前週7位)
220万ドル(-35.8%)/2246館(-291館)/累計1億86万ドル/7週/ソニー

9.『Undertone(原題)』(↓前週8位)
165万ドル(-45.2%)/1852館(-718館)/累計1846万ドル/3週/A24

10.『Forbidden Fruits(原題)』(初登場)
117万ドル/1525館/累計117万ドル/1週/IFC

(※Box Office Mojo、Deadline調べ。データは2026年3月30日未明時点の速報値であり、最終確定値とは誤差が生じることがあります)

参照
https://www.boxofficemojo.com/weekend/2026W13/
https://variety.com/2026/film/news/box-office-ryan-gosling-project-hail-mary-fsecond-weekend-they-will-kill-you-flops-1236702142/
https://www.hollywoodreporter.com/movies/movie-news/hail-mary-epic-hold-box-office-they-will-kill-you-bombs-1236549448/
https://deadline.com/2026/03/box-office-project-hail-mary-they-will-kill-you-1236767718/
https://deadline.com/2026/03/box-office-global-project-hail-mary-hoppers-they-will-kill-you-1236768592/
https://apnews.com/article/box-office-project-hail-mary-375a52c0dab0db48d822e17ad1971bde

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