瀧七海、20歳で挑む舞台『るつぼ』と理想の俳優像への現在地 「“私らしさ”を発信する1年に」

瀧七海、20歳で挑む舞台『るつぼ』を語る

舞台『るつぼ』観劇レポート

舞台『るつぼ』ゲネプロより(カメラマン 田中亜紀)

 1692年にアメリカ・セイラム村で起きた魔女裁判を題材に、集団心理の恐ろしさや人間の尊厳と愚かさを描いた『るつぼ』。物語は、村の牧師・パリスが夜の森で踊る少女たちを発見したことから始まる。現在の感覚だと「森で踊っているのがそんなに問題なのだろうか」と感じるが、当時ははしたない行為で神への冒涜とされていたそうだ。

 さらに、パリス牧師の娘が意識不明になり、他の家の娘たちも不可思議な病や錯乱状態になったことから、「村に魔女がいて悪さをしている」という噂が広がる。

 村の人々の利権争いや対立、ジョン・プロクター(坂本昌行)と元使用人の少女・アビゲイル(瀧七海)の不義の関係など、様々な問題と思惑が絡み合い、少女たちは黒人奴隷のティテュバが悪魔を呼んだと証言。

 少女たちは村の人々を次々に魔女として告発し、悪魔祓いとして街に駆けつけたヘイル牧師(松崎祐介)や判事を巻き込んで大騒動を巻き起こしていく――。

 瀧は少女らしい一途さと大人びた雰囲気を併せ持つアビゲイルを存在感たっぷりに演じる。ジョンに対する恋心、その妻・エリザベス(前田亜季)に対する嫉妬、叔父をはじめとする大人たちからの抑圧に対する反抗心、少女たちの中での力関係といった事情を繊細に表現していた。一幕でジョンに見せる少女らしい表情、裁判で見せるぞっとするような冷たい美しさのギャップも見応えがある。

 セリフがない場面での表情や視線の動きからも、彼女の心の動きや変化を見て取ることができ、子供として扱われながらも、実際は様々なことを理解している年頃の難しさが伝わってくる。

 閉鎖的な村の人間関係、少女たちに押し付けられる役割の息苦しさ、恋心を裏切られた少女の苦しみ。作品を通してアビゲイルの事情が分かるからこそ、魔女裁判で彼女が見せる残酷さ、頑ななまでの態度にも納得感が生まれていると感じた。

 坂本演じるジョンの鬼気迫る演技にも真正面から向き合い、堂々とした演技で強い印象を残した瀧。インタビュー時に俳優としての目標を語り、「見守ってください」とはにかんでいた初々しい彼女が、これから大きく成長していくのが楽しみだ。

■公演情報
『るつぼ The Crucible』
出演:坂本昌行、前田亜季、松崎祐介、瀧七海、伊達暁、佐川和正、夏子、大滝寛、那須佐代子、大鷹明良、斉藤直樹、内田健介、浅野令子、米山千陽、長村航希、武田知久、星初音、安藤ゆり、山本毬愛
作:アーサー・ミラー
翻訳:水谷八也
演出:上村聡史

東京公演:3月14日(土)~3月29日(日) 東京芸術劇場プレイハウス
兵庫公演:4月3日(金)~4月5日(日) 兵庫県立芸術文化センター 阪急 中ホール
豊橋公演:4月11日(土)~4月12日(日) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール
公式サイト:https://rutsubo2026.com/
公式Xアカウント:@rutsubo2026
製作:フジテレビジョン、サンライズプロモーション

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