なぜNetflixはワーナー買収から撤退したのか? “逆転勝利”したパラマウントの全貌

ワーナーがパラマウントの新提案を検討する流れを受けて、Netflixの共同CEOテッド・サランドスはホワイトハウスを訪問したが、米国メディアの報道によると、サランドスがホワイトハウスに滞在しているさなかにワーナーはパラマウントの提案を受け入れ、さらにNetflixは撤退を決定していたという。
もともとNetflixのワーナー買収にはいくつもの障壁があり、まずは映画界の反発が非常に大きかった。フィルムメイカーや映画館の業界団体が相次いで声明を発表したのは、Netflixがストリーミング他社よりも短期間の劇場公開を実施していたこと、そしてサランドス氏自身が、以前から劇場体験を「時代遅れ」だと公言していたためだ。
業界の声を受け、Netflixはワーナー作品の劇場公開を維持し、買収後は劇場配給にもきちんと取り組む姿勢を見せていたが、このことを素直に受け止める者は決して多くなかった。
また、ストリーミング最大手のNetflixがワーナーのIP(知的財産)やライブラリ作品を手中に収めることは、同じく老舗スタジオ同士の“横の合併”であるパラマウントの買収より規制リスクが高いとみられていたことも事実。さらに、サランドスがホワイトハウスを訪れたことからもわかるように、本件は早くから政治的な争いだった。なぜなら、実質的にパラマウントを掌握するエリソン家はドナルド・トランプ大統領の有力な支援者であり、デヴィッド・エリソンCEOもトランプ大統領の「良い友人」と呼ばれる人物。このことは審査のプロセスにおいて大きな強みになるといわれてきたのだ。
Netflixは、買収断念を発表した声明の中で、「この取引は適正価格で“行われればいい”もので、いかなる価格であっても“行われるべき”ものではありませんでした」と綴っている。あくまでもビジネスである以上、パラマウント以上の条件を出せなかったことは確かだろうが、もっと複雑な問題が絡み合っていたことも十分に考えられる。
政界からは、トランプ大統領と関係の深い人物が巨大企業の合併をまとめることを含めて批判の声もあがっている。パラマウントが劇場支持のスタンスを貫いていることから、映画界からの反発はNetflixの買収発表当時より明らかに少ないが、事実上ひとつのスタジオが消滅する以上、少なくない雇用が今後失われる可能性もある。
いずれにせよ、パラマウントによるワーナー買収が成立する場合、これはディズニーが21世紀フォックスを事業買収したことに次ぐスタジオ同士の大型合併だ。パラマウントはワーナーの映画・配信・テレビ部門を一挙に獲得し、新たな“メディア帝国”の建設に進み出すことになる。
参考
https://variety.com/2026/tv/news/netflix-declines-raise-bid-warner-bros-discovery-1236674149/
https://www.hollywoodreporter.com/business/business-news/netflix-backs-out-warners-deal-paramount-win-1236516763/
https://deadline.com/2026/02/sarandos-netflix-warner-bros-deal-fall-through-1236737892/
https://ir.paramount.com/news-releases/news-release-details/paramount-comments-warner-bros-discovery-boards-determination-0























