『ばけばけ』髙石あかりは小泉セツの“魂”を憑依させている 制作統括が驚いた“困り笑顔”

髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
松江新報の連載『ヘブン先生日録』によって、一躍有名となったヘブン(トミー・バストウ)&トキ(髙石あかり)夫妻。一時はグッズができるほどの熱狂ぶりだったが、第18週で事態が急転。借金取り・銭太郎(前原瑞樹)の「嫁に行く代わりに借金を返したのでは」という発言を梶谷(岩崎う大)が記事にしたことで、トキは世間から「ラシャメン」の烙印を押され、中傷の的になっていく。

そんな波乱の展開について、制作統括の橋爪國臣は「今まで松野家が持ち上げられてきましたが、それだけじゃない側面もきちんと描かなければいけないと思っていました。史実にもセツさんが『ラシャメン』と呼ばれたり、石を投げられたりしたというエピソードが残っているので、そうした負の部分もしっかりと描きたかったんです」と語る。
実際、この騒動はドラマよりも早い段階で起きているが、「トキとヘブンのお互いを思う純粋さが消えてしまうので、結婚の話とは分けて描きたかった」と作劇の意図を明かし、「似たようなことはきっとどの時代でも起きていて、現代はSNSによってそのスピードが速くなり、より顕在化しているのではないかなと。現代と当時が通じる物語になればいいなと思って、この週を作りました」と話した。
ラシャメン騒動の終着点となったのは、江藤知事(佐野史郎)の食い逃げ事件。これは脚本家・ふじきみつ彦による発案で、橋爪は「明治時代の知事はきっとお金なんか払っていなくて、後からツケで処理していたんでしょうから、食い逃げなんてありえないですよね(笑)。でも、食い逃げくらいの小さな話で騒動が解決される。そんな軽さがほしかったんです」と振り返る。

「たとえば誰かが『彼女はラシャメンじゃない』ときちんと証明するとか、誰かが『ラシャメンに対してそんなことをするのはよくない』と言うとか、いろんな落ち着かせ方はあると思います。でもそうではなくて、馬鹿馬鹿しいもので解決する。“全然違うところで、全然違うかたちでふわっと解決する”というのが、『ばけばけ』のテイストだと思っています」
さらには「実際、ものすごく大騒ぎしていたのに、どうでもいい話題によってみんなが忘れちゃうようなことは今でもあるじゃないですか」と続け、「知事の食い逃げだって、力士と遊女の心中事件によってみんなが忘れていく。“ラシャメン”に対する当時の世論を描きつつ、物語に現代的なテーマや軽やかさを取り入れている。そのバランスがすごくいいなと思っています」と手応えを語った。






















