ボカロノスタルジーを超えた 『超かぐや姫!』は現代アニメファンを本気で感動させる傑作に

『超かぐや姫!』は傑作オリジナルアニメ

 1月22日に配信され、国内外で大ヒットを記録しているNetflixアニメーション映画『超かぐや姫!』。同作は音楽に力を入れた企画となっており、ryo(supercell)にkz(livetune)、40mPにHoneyWorks、Aqu3ra、yuigotと、ボーカロイド文化を盛り上げてきた人気作曲者たちが参加している。

 今回はそんな同作の音楽面に注目し、“ボカロアニメ”としての魅力を紹介したい。そこには単なるノスタルジーを超えた、斬新な表現手法を見出すことができるだろう。

『超かぐや姫!』本予告映像| 2026年1月22日(木) Netflixにて世界独占配信

 『超かぐや姫!』の主人公・酒寄彩葉は、アルバイトや学業、推し活と多忙な日々を送る女子高生。彼女が七色に輝くゲーミング電柱から出てきた赤ん坊を拾ったことから、物語は動き出す。みるみる成長したその女の子・かぐやは、インターネット上の仮想空間「ツクヨミ」に興味を示し、彩葉は巻き込まれるかたちでライバー活動を手伝うことになる。

 主にボカロ曲が出てくるのは「ツクヨミ」上のライブシーンで、彩葉とかぐや、そして「ツクヨミ」の管理人兼配信者の月見ヤチヨが「ハッピーシンセサイザ」や「ワールドイズマイン」を歌う場面が描かれる。またボカロPによる書き下ろし楽曲も多数使用されているほか、YouTubeではかぐやとヤチヨによる「歌ってみた動画」が投稿されている。

【本編ライブシーン】星降る海 – Aqu3ra / 月見ヤチヨ(cv.早見沙織) from #超かぐや姫 !
【歌ってみた】『超かぐや姫!』メドレー – ロンリーユニバース/竹取オーバーナイトセンセーション/トリノコシティ/夢をみる島/Tell Your World

 全体的にボカロ文化へのリスペクトを感じる作りとなっており、たとえば「ワールドイズマイン」のライブシーンでは、床に倒れ込んだかぐやが胸に手を当てながら歌う場面が登場。これはryoがニコニコ動画に投稿した“本家MV”のオマージュだと思われる。

 とはいえ、同作がボカロファンのノスタルジーを刺激するだけの作品だとしたら、ここまで爆発的な人気を博していなかっただろう。もっと深い部分で“ボカロ愛”を感じさせるからこそ、観る者を感動させる名作となっている。

 結論を先取りして言うと、「ボカロ曲を通して物語を語る」というアプローチを行っているのが『超かぐや姫!』の新しさであり、面白さだ。

「ツクヨミ」で活躍するかぐやとヤチヨは、細田守の『竜とそばかすの姫』などで描かれてきた“仮想現実の歌姫”という題材をなぞったものに見える。しかしネタバレになるため詳細な説明は避けるが、『超かぐや姫!』はそうした視聴者のイメージを利用し、いい意味で裏切ってみせるところが作品の肝となっている。そこで描かれるのは、いわゆる“百合”を題材とした壮大で骨太なストーリーだ。

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