橋本環奈が継承する“ビリギャルイズム” 『ヤンドク!』『おむすび』に通底する根性演技

橋本環奈が継承する“ビリギャルイズム”

 押忍! 今回は、1月12日にスタートした月9ドラマ『ヤンドク!』(フジテレビ系)について、気合入れて紹介させてもらうッス!

 “千年逸材”こと橋本環奈が演じるのは、元・暴走族レディースの総長、田上湖音波! かつて国道を爆走していた彼女が、マブダチの死を乗り越え、なんと脳外科医に転身! 古いルールと権力に縛られた大学病院を、仏恥義理(ぶっちぎり)スタイルで大改革!  旧態依然の医者どもに喧嘩上等を叩きつける!

 その熱いソウルは、まさに天上天下唯我独尊! 患者への愛羅武勇(アイラブユー)を胸に、難しい手術も気合と根性で成功させる姿は超胸アツ! 見逃し厳禁! まだ見てねえ奴は、TVerで追いつけ! これを観て、明日からも仕事や学校を死ぬ気で生き抜こうぜ! 夜露死苦(よろしく)!

 ……このテンション、だいぶ疲れるのでこのへんで通常モードに戻します。

 思い返してみると、有村架純主演の映画『ビリギャル』が日本中を感動の渦に巻き込んだのが、2015年のこと。あれからおよそ10年が経った。『ビリギャル』が、金髪の女子高生が慶應現役合格という「既存のシステム(学歴社会)の中で勝利をつかむ物語」だったとすれば、令和の世に現れた『ヤンドク!』は、「腐敗したシステムそのものを、アウトローが破壊・再生する物語」だと言えるだろう。

 湖音波の武器は、東大医学部卒の学歴でもなければ、政治的な根回しでもない。「助ける」と決めたらテコでも動かない、ヤンキー由来の覚悟だけだ。橋本環奈は、朝ドラ『おむすび』(2024年度後期)でもギャルを通じ、「自分の好きを貫く精神」と「困っている人を見捨てない優しさ」を体現したばかり。しかし本作での彼女は、その“個”の強さを、組織の論理をねじ伏せる圧倒的突破力へとフルチューンさせている。

 舞台となるのは、都立お台場湾岸医療センター。この設定が、最高に皮肉が効いている。 公立病院ゆえに求められるのは、患者の満足度よりも徹底したコスト管理。手術ひとつするにも「手術特例申請書」だの「コスト意識遵守宣言書」だの、書類の山が築かれる。回診は「1人5分まで」というタイムキープ義務があり、少しでも逸脱すれば「歩くルールブック」こと高野看護師長(馬場徹)から目をつけられる監視社会だ。

 まるで、警察組織の官僚主義を揶揄した『踊る大捜査線』(1997年/フジテレビ系)の病院版。そこにあるのは、保身とマニュアルと、冷え切った効率化だけ。そんな淀んだ空気が漂う現場で、彼女は「ええ加減にしやあ! たぁけかっ(愚か者)!」と一喝する。この岐阜弁の響き! 彼女にとって、目の前の命を救うことに手続きも許可も関係ない。裸足でオペ室に駆け込み、天才的な手技でカテーテルを操る姿には、神々しさすら感じさせる。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる