『冬のなんかさ、春のなんかね』が踏み込んだ“恋愛”と“性愛”の視点 野内まるが重要人物に

第1話放送後の世の中の反応が、想像以上に賛否両論というか、限りなく後者のほうが目立っていた『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ系)。ストーリーであったり登場人物たちのキャラクター性の好き嫌いだったりも少なからず影響しているのかもしれないが、それ以上に、このドラマが持つ特有の“曖昧さ”が一因なのだろう。
テレビドラマというものは(むしろ昨今では映画もその傾向にあるが)、割と“明確な答え”を提示しがちで、観る側もついそれを求めてしまう。なにはともあれ、そんな“曖昧さ”が好きだという人もいていいし、苦手な人もいていいわけで。
その前回は、文菜(杉咲花)と彼女を取り巻く3人の男性たちの物語が描写された。偶然かつ運命的な出会いを果たし、恋愛関係へと発展するゆきお(成田凌)、文菜に好意を寄せる小太郎(岡山天音)、恋愛とは異なるベクトルの親密さを構築している先輩小説家の山田(内堀太郎)――そう、1月21日に放送された第2話では、前回ノートに思考整理しているくらいに留まっていた、文菜の“小説家”としての職業性が垣間見える。新たに書いている作品に関して担当編集者と相談したり、まだ整理されきっていない思考を、執筆行為を通して少しずつ整えていったり。

どちらかといえば今回は、文菜自身が直接関与する恋愛よりも、周囲の人物の恋愛の悩みを受け取った彼女が、それをどう自らのものに置き換え、かつ還元していくのかと思案する様子が映しだされていくのである。大学時代からの友人で、古着屋の同僚であるエンちゃん(野内まる)。行きつけの喫茶店「イスニキャク」の店員である和地くん(水沢林太郎)。そして恋人からフラれた小太郎。とりわけエンちゃんは、文菜の恋愛――すなわちこのドラマ自体のテーマにも大きく関わる存在となりそうでもある。

このエンちゃんは、“ロマンティック・アセクシャル”。他者に恋愛感情を抱くけれど、いわゆる性的な欲求を伴わないという人物として描かれている。文菜はそんなエンちゃんをモデルにした登場人物が出てくる小説を書いており、そのなかで“羨ましい”という感情を向けている。それについては文菜自身が言語化しているように、セックスによって人間関係が変わってしまう経験がないこと、また、エンちゃん自身のまっすぐな性格への憧れに起因しているものであり、文菜とは正反対――いや、“ロマンティック”=他者に恋愛感情を抱くという点のみは共通しているか。

この“恋愛”というものと“性愛”というものを切り分けて見る視点。終盤で彼女にフラれた小太郎を自らホテルに誘うけれど、その先の行為まで発展しない関係性にも通じるものがある。また一方で、文菜はゆきおとクリスマスの日に椅子を買いに行って朝まで過ごすわけだが、そこでゆきおから一緒に住むことを提案されてもあまり浮かない表情を見せる。どことなく、購入した椅子が発送される2カ月先には2人の関係に終わりが来ていそうな予感さえもただよっているのである。
小説家で古着屋バイトの主人公・文菜は、過去の経験から恋人と真剣に向き合うことを避けていた。そんな文菜が自分の恋愛を見つめ直していく。演出には、映画監督の山下敦弘と山田卓司も参加している。
■放送情報
『冬のなんかさ、春のなんかね』
日本テレビ系にて、毎週水曜22:00~放送
出演:杉咲花、成田凌、岡山天音、水沢林太郎、野内まる、志田彩良、倉悠貴、栁俊太郎、細田佳央太、内堀太郎、林裕太、河井青葉、芹澤興人
脚本:今泉力哉
監督:今泉力哉、山下敦弘、山田卓司
音楽:ゲイリー芦屋
主題歌:Homecomings 「knit」(IRORI Records / PONY CANYON)
プロデューサー:大倉寛子、藤森真実、角田道明、山内遊
チーフプロデューサー:道坂忠久
制作協力:AX-ON、Lat-Lon
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/fuyunonankasa/
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