中島健人がセックスセラピスト役に挑む “セクシーサンキュー”のイメージはどう変わる?

中島健人がセックスセラピストを演じる意味

 その点で、中島の俳優としての歩みは、今回の役と自然につながっている。彼は主演作を重ねながら、「中島健人はこういう人」というイメージを、作品ごとに少しずつ広げてきた。『ドロ刑 -警視庁捜査三課-』(日本テレビ系)では明るいエンタメ作品を引っ張り、『未満警察 ミッドナイトランナー』(日本テレビ系)ではバディものの熱量の中で、勢いだけではなく不安や弱さも見せている。『彼女はキレイだった』(カンテレ・フジテレビ系)や『リビングの松永さん』(カンテレ・フジテレビ系)では、ラブコメの王道を担い、誰もが期待する“スター像”をきちんと成立させてきた。

『桜のような僕の恋人』キーアート

 一方で、Netflix映画『桜のような僕の恋人』では派手な魅せ場よりも、心の揺れを丁寧に追う芝居に踏み込み、Huluオリジナルドラマシリーズ『コンコルディア/Concordia』への出演で海外ドラマデビューも果たしている。こうした経験を経て、『SとX』で人の悩みを受け止める側の人物を演じることは、意外性だけで選ばれたわけではなく、これまでの流れの延長として納得できる。

 中島が「『アイドル』である自分が、『セックス』をテーマにした作品に取り組む意義について、深く考えました」と明かしている点も見逃せない(※)。霜鳥は、相談者の気持ちを決めつけず、細かな変化まで見ながら言葉を受け止めていく。その姿が、中島にとっては音楽を作るときの感覚にも近かったという。相手の気持ちを想像し、言葉や温度を探りながら形にしていく作業は、確かに曲作りにも通じる。だからこそこの作品は、刺激で注目を集めるためのものではなく、ちゃんと話し合える場所を作るための物語として届けたい、という中島の意志が感じられる。

 強いイメージを持つ人ほど、「次はどんな顔を見せてくれるんだろう」と期待されやすい。視聴者も「いつもの中島健人」を思い浮かべながら再生するはずだ。けれど『SとX』で描かれるのは、派手な見せ場よりも、誰にも言えない悩みを抱えた人が、少しずつ言葉にできるようになるまでの時間である。そして寄り添う側の霜鳥自身も、揺れたり迷ったりしながら相手と向き合っていく。『SとX』は性を題材にしているが、実は「どうやって本音を話すか」「どうやって相手の話を受け止めるか」というコミュニケーションの物語でもある。その中心に中島健人が立つからこそ、セクシーサンキューのイメージを知っている人ほど、そこから少し距離の近い、人間としての表情を見届けたくなる。

参照
https://realsound.jp/movie/2026/01/post-2274622.html

■配信情報
Netflixシリーズ『SとX』
Netflixにて2026年世界独占配信
出演:中島健人
原作:多田基生『SとX~セラピスト霜鳥壱人の告白~』(講談社『モーニング』刊)
監督:草野翔吾
シリーズ構成・脚本:吉田智子
脚本:草野翔吾、松島瑠璃子、ばばたくみ
エグゼクティブ・プロデューサー:秋田周平(Netflix)
プロデューサー:瀬戸麻理子、齋藤大輔
プロダクションプロデューサー:押田興将
制作プロダクション:オフィス・シロウズ
企画・製作:Netflix

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる