菅井友香の“俳優”としての強度 櫻坂46キャプテンから『チェイサーゲームW』に至る軌跡

『チェイサーゲームW』菅井友香の軌跡

 菅井の代表作にもなった本作を振り返る前にあらためて、菅井のキャリアを振り返ってみたい。かつて菅井は欅坂46/櫻坂46のキャプテンとして、グループの看板を背負いながら、ステージでも言葉でも先頭に立ち、節目のたびにメンバーをまとめてきた存在だ。そうして培われた責任感と安定感は、卒業後に俳優として歩み始めた現在も、菅井の大きな土台になっている。

 俳優としての菅井は、作品ごとに異なる役柄に向き合いながら、少しずつ表現の幅を広げてきた。ドラマ『ビジネス婚―好きになったら離婚します―』(MBS)では、恋愛に不器用なキャリアウーマン・佐山雅を演じ、仕事では冷静に振る舞える一方で、私生活では感情がうまく整理できない人物像を描いた。理屈では割り切れない気持ちが表に出てしまう瞬間を丁寧に積み重ねることで、役の説得力を作っていく。その姿は、『チェイサーゲームW』の樹とも重なり、菅井がこうしたタイプの人物を自分の中に蓄えてきたことがよくわかる。

菅井友香、櫻坂46は「いつまでも特別な存在」 グループ卒業から俳優業での躍進までを語る

2022年11月に櫻坂46を卒業した菅井友香が多方面で活躍している。舞台やミュージカルでの俳優業に加えて、競馬番組『KEIBA …

 映画『女神降臨』で演じた川島愛美では、さらに違う一面を見せた。恋のライバルとして感情を隠さずぶつける場面が多く、苛立ちや焦りがそのまま言葉や態度に表れる役柄だった。穏やかに見える印象だけでは演じきれない人物に挑むことで、菅井は感情を前に出す芝居にも確実に手応えを積み重ねている。

 そして2026年には、NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』への出演も控えている。歴史ドラマという大きな舞台で、一人の人物を長い時間軸の中で演じていく経験は、俳優としての基礎をさらに強くするはずだ。アイドル時代にグループの責任を背負ってきた菅井が、いまは俳優として一つひとつの役に向き合い、その人生を丁寧に演じていく段階に入っていることが、これまでの出演作からはっきりと伝わってくる。

 キャリアを重ねてきた菅井にとって、本作はキャリアの現在地を示す作品でもあるだろう。樹がどんな未来を選ぶのかを見届けることは、作品の結末を追うだけではない。菅井友香がここまで積み上げてきた道のりが、次の挑戦へどうつながっていくのかを確かめることにもなるはずだ。

■公開情報
『チェイサーゲームW 水魚の交わり』
5月15日(金)新宿バルト9ほか全国公開
出演:菅井友香、中村ゆりか
原作:松山洋
脚本:アサダアツシ
監督:太田勇
製作幹事:株式会社サイバーコネクトツー
製作プロダクション:ダブ
配給:NAKACHIKA PICTURES
©2026『チェイサーゲームW 水魚の交わり』製作委員会
公式サイト:chasergamew-movie.jp

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