及川光博が『ぼくたちん家』で“ミッチー”を封印した意義 不器用でも愛される玄一を体現

及川光博が『ぼくたちん家』で愛され玄一体現

 不器用でおせっかいな行動はあっても、関わる人々から自然と信頼されていくのは、それが一生懸命がゆえの産物だからだ。何事にも真面目に取り組んでいるからこそ、熱量が空回りしてしまうこともある。でも、彼が闇雲でも懸命に手を伸ばしたからこそ、ほたるは彼の大それた夢に感化されて、自身の好きなものとやりたいことを見つけ、社会に絶望していた索は、冷めた目で見つめていた“かすがい”や“恋と革命”という言葉を信じていいと思えた。2人が悩んだり落ち込んだりしたとき、いつもそばで寄り添っていたのは玄一だった。

 及川にとっても玄一という役柄を演じることは大きなチャレンジだったという。実際、世間のイメージする及川と言えば、飾らない明るいキャラクターと煌めくようなオーラを放つカリスマ性をまといながら、多くの人々を魅了する人物だろう。

 しかし、本作では“ミッチーのスター性”を封印。不測の事態が起きれば呆気にとられ、ほたるの突拍子もない言葉には間の抜けた「ええっ」や「あっ……」という空気の抜けるような相槌を打つ。どんな場所であろうと、スマートに周囲を楽しませる及川とはまるっきり異なる姿だ。だからこそ、あまりにも自然な佇まいで玄一として存在している凄まじさが、視聴者には一目瞭然で伝わってくる。

 これだけ幅広い役柄をカメレオンのように演じ分け、なおかつ個性的なキャラクターとして親しまれるように振る舞い、世の中を魅了してきた変幻自在ぶり。主演として性的マイノリティの役柄に挑んだ本作は、彼の俳優人生においても大きなチャレンジだったことは間違いない。結果として、彼が”ミッチーのスター性”を封印して演じた玄一は、登場人物からも視聴者からも愛されるキャラクターとなった。

『ぼくたちん家』の画像

ぼくたちん家

現代に様々な偏見の中で生きる“社会のすみっこ”にいる人々が、愛と自由と居場所を求めて、明るくたくましく生き抜く姿を描くホーム&ラブコメディ。

■放送情報
『ぼくたちん家』
日本テレビ系にて、毎週日曜22:30~放送
出演:及川光博、手越祐也、白鳥玉季、田中直樹、渋谷凪咲、坂井真紀、光石研、麻生久美子
脚本:松本優紀、渋谷凪咲、田中直樹
演出:鯨岡弘識、北川瞳
インクルーシブプロデューサー:白川大介
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:河野英裕、西紀州、岡宅真由美
音楽:東川亜希子、神谷洵平
主題歌:「バームクーヘン」
制作協力:AX-ON
©日本テレビ
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/bokutachinchi/
公式X(旧Twitter):https://x.com/bokutachinchi
公式Instagram:https://www.instagram.com/bokutachinchi/
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