『ばけばけ』が令和の時代の朝ドラである大きな意味 “面影”を愛する主人公たちの煌めき

『ばけばけ』が令和のいま極めていい題材であるといえるわけは、「面影」を愛する人物を主人公にしていることだ。ヘブンだけでなく、主人公のトキ(髙石あかり)が怪談という西洋化する社会のなかで風前の灯であるものをこよなく愛している。
朝ドラ自体は時代の流れに従って、新しい価値観やスタイルを取り入れていく必要もあるだろう。そのためいままでの朝ドラと違うと指摘されてしまうこともある。『ばけばけ』も明治を舞台にしながらも現代調な笑いを伴う会話劇を選択している。第12週では、リヨの求婚をヘブンが断って帰ってきて、彼女からもらったウグイス(実はメジロ)をかごから出して外に逃がすのを見たトキが、リヨからもらった湯たんぽを壊そうとしてヘブンに止められる。

しんみりした流れで、ちょっとしたドタバタ。トキの真剣な勘違いがヘブンに一瞬笑顔をもたらしたのは良かったと思うが、トキがあまりにドジっ子に描かれすぎではないかという意見もある。モデルのセツはもう少し思慮深く聡明だったのではないかと彼女の著書『思ひ出の記』などを読んで感じるのだろう。松野家に武家の威厳が感じられず、滑稽に描かれていることが気になる視聴者の声もある。
実際、彼らがどんな人だったかわからないが、確実なのは、トキとヘブンは近代化以前の日本の面影を愛する者だということだ。
椿の一輪挿し、松に雪、鏡餅……など日本に生まれて良かったな、と感じるようなものが時々出てくる。
できればもっと面影アイテムをさりげなく出してほしい気もする。
参照
※1. https://news.yahoo.co.jp/expert/articles/e562d74052e1acc03e02c5ad025ed83bf6417202
※2. https://x.com/asadora_bk_nhk/status/1998967359936278671
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK




















