目黒蓮には“大きな夢”を託したくなる 『ザ・ロイヤルファミリー』で示す俳優としての真価

目黒蓮が『ロイヤルファミリー』で示す真価

 目黒蓮が映像作品において背負う役割はさまざまだが、一様にして重い。それは主演として“作品の顔”となる重さだけでなく、演じるキャラクターが託される“役割”の重さでもある。芝居の中で目には見えない重責を担えることが、彼の出演作が途切れない理由のひとつと言えるだろう。

 フジテレビの連続ドラマ初出演となった『silent』(2022年/フジテレビ系)では「若年発症型両側性感音難聴」を患い、音のない世界で生きる佐倉想の心の変化を繊細な表情で視聴者に伝える。再び脚本家の生方美久とタッグを組んだ『海のはじまり』(2024年/フジテレビ系)では主人公の月岡夏として、自覚のないまま幼い娘を育てる父親となった責任と直面する。話数を重ねるごとに役柄とシンクロして、研ぎ澄まされていく彼の芝居には、両作品のプロデューサーを務めた村瀬健がコメントしたように、名だたるキャストたちを前に「相手の能力を吸収していく」ような感覚を抱かせる。

『ザ・ロイヤルファミリー』©TBSスパークル/TBS

 そして、現在、放送中の日曜劇場『ザ・ロイヤルファミリー』(TBS系)で目黒が演じているのが、若くして馬主となった青年・中条耕一。キャスティングが発表された際は謎のキャラクターとして紹介されていたが、第4話で人材派遣会社「ロイヤルヒューマン」の創業社長である山王耕造(佐藤浩市)と中条美紀子(中嶋朋子)の隠し子であることが発覚する。

 これまで母子ともに不遇な扱いを受けてきた耕一は、母親の葬式に訪れた耕造の援助の申し出を拒否。喪失の最中で言葉数は少なくとも、一度は受け取った香典を一切の拒絶を感じさせる厳しい眼差しで突き返す姿は、耕一の心に決めた意思の強さを伝えるには十分なものだった。

『ザ・ロイヤルファミリー』©TBSスパークル/TBS

 しかし、第6話のラスト、雨中の開催となった有馬記念レースで、栗須(妻夫木聡)と耕造が夢を託した競走馬“ロイヤルホープ”のラストランを見届ける耕一の目には、2人と違わない馬への情熱が宿っていた。ホープを鼓舞する渾身の叫び。これまで目黒が耕一の腹の底で目まぐるしく変化する感情を冷静に抑え込んでいたからこそ、彼の「行け!」は爆発的な情動を場面に引き起こす。

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