『良いこと悪いこと』小林が園子に近づいたワケ メディアと世論の危うさに対する問題提起
園子(新木優子)が記者として働く「週刊アポロ」の編集長が競合他社に引き抜かれ、そちらの週刊誌から、一連の殺人事件が園子による復讐だという根も歯もない記事が掲載される。そのせいで園子は世間から大バッシングを受けることになり、高木(間宮祥太朗)や小山(森本慎太郎)もなすすべがない。そんななか、園子に手を差し伸べたのは“委員長”こと小林(藤間爽子)。彼女は、園子に反論記事を書くべきだと後押しするのである。
11月15日に放送された『良いこと悪いこと』(日本テレビ系)は第6話。前回までのエピソードでは、高木をはじめとした“いじめ加害者”6人と、“被害者”である園子にフォーカスが当てられてきたが、今回はそのどちらにも含まれない“傍観者”である小林を中心に物語が動く。もっとも、回想シーンで明らかにされたように、園子が現在も苦しめられている閉所恐怖症の原因となった体育倉庫に閉じ込められた一件。園子の筆箱を持ち出し、扉を閉めた張本人こそ、小林だったのだが。
第1話での同窓会、喫煙所での会話の途中、高木の左手の薬指に視線を落とした小林。その様子から、彼女がかつて高木に好意を寄せていたことが示唆されたわけだが、前回のエピソードで園子と小林が2人で食事に行って打ち解けるシーンで、小林自身の口からそれが明言された。そもそも高木が園子をいじめていたことが、小学生男子特有の好意の裏返しであったと仮定すれば、小林はいち早くそれに勘付いており、園子に対して当時から嫉妬心を持っていたと読み解くことができる。
また、“みんなの夢”に小林が描いた「政治家になる」という夢が叶えられなかった一方で、園子はすっかり有名人になっている。しかも高木と頻繁に会っているとなれば、現在の彼女に対しても同様の感情を向けてもおかしくはない。案の定、小林は例の園子への疑惑記事の情報源であり、反論記事を書くよう後押ししたのも高木たちとの関係を絶たせようとするねらいがあってのことだろう。しかしそうした“良い子”であることへの重圧のほかに、小林には園子に対する重大な怨恨があったことが判明する。
それは園子が“美人すぎる記者”としてもてはやされるきっかけとなった、大学サッカー部の薬物疑惑を報じた記事。偶然にもその部活に所属していた小林の弟は、無実でありながらも誹謗中傷の的となり、プロになる夢を閉ざされて自殺してしまう。いじめの加害者たちが連続殺人の被害者となっているなかで、いじめの被害者であった園子は報道記者として、事実上の加害者となっている。そしてまた、その被害者遺族である小林は、園子への世論のバッシングを焚きつけ、自身も彼女へナイフを向ける加害者になる。
こうした“被害者”と“加害者”という相対するものの表裏一体性、誰もが加害者にも被害者にもなりうること。また、中盤で高木が園子に「嘘で攻撃されていいわけがない」と言うのに対し、園子が返す「いまの世の中は、正しいほうではなくおもしろいほうを信じる」という言葉。それこそ前クールの『放送局占拠』(日本テレビ系)も然り、その前クールの『恋と闇』(日本テレビ系)も然り、ここ最近の日テレ系の考察ミステリーにおいては、こうしたメディアと世論の危うさに対する問題提起が意識的に描写されていると感じずにはいられない。
さて、終盤で園子は、「イマクニ」で顔を合わせたことのある宇都見(木村昴)が刑事であることを知る(いまのところ、園子以外は知らないのであろう)。そして園子の周りで“4人”の犠牲者が出ていることを伝えられる。“6人組”のうちの3人と、前回登場したかつての担任教師・大谷(赤間麻里子)のことだ。また、羽立(森優作)は前回コンタクトをとった“博士”と呼ばれる同級生に会いにいくため、カバンのなかにナイフを忍ばせる。いよいよ次回、忘れ去られた“7人目”の正体が明らかになるのだろうか。
ガクカワサキが脚本を手がけるノンストップ考察ミステリー。小学校の同窓会で、連続不審死が発生。同級生全員が容疑者となる中、犯人を巡る探り合いが始まる。
■放送情報
『良いこと悪いこと』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00~放送
出演:間宮祥太朗、新木優子、森本慎太郎(SixTONES)、深川麻衣、戸塚純貴、剛力彩芽、木村昴、藤間爽子、工藤阿須加、松井玲奈、稲葉友、森優作、水川かたまり(空気階段)ほか
脚本:ガクカワサキ
演出:狩山俊輔、滝本憲吾、長野晋也
プロデューサー:鈴木将大、妙円園洋輝
チーフプロデューサー:道坂忠久
音楽:Jun Futamata
制作協力:ダブ
©日本テレビ
公式X(旧Twitter):@iiwaru_ntv
公式Instagram:@iiwaru_ntv
公式TikTok:@iiwaru_ntv
公式サイト:https://www.ntv.co.jp/iiwaru/