『ぼくたちん家』玄一たちの“生きづらさ”があらわに クセになる及川光博のコミカルな芝居

『ぼくたちん家』及川光博の芝居がクセになる

「3000万円あります。家欲しいんですよね。私、あなたを買います」「このお金あげるんで。あなたはこれで家を買って、その代わりに私の親のフリしてください」

 ほたる(白鳥玉季)の突拍子もない頼みごとから始まったドラマ『ぼくたちん家』(日本テレビ系)の第2話では、玄一(及川光博)やほたるが抱える“生きづらさ”の一端があらわになった。

 まったく目的が判然としないほたるの申し出に終始、面食らった表情を浮かべる玄一。スーツケースに入った札束を押し付けようとするほたるに対して、そんな大金は受け取れないと“親のフリ”に難色を示すものの、「いつもご飯どうしてるの?」「お金とか大丈夫? 生活費とか」とほたるの1人暮らしに心配を寄せるところに、放っておけない彼の心優しさが感じられる。

 一方、頑なに車中泊を続ける索(手越祐也)は、とうとう警備員に注意されて動物園の駐車場から追い出されてしまう。それでも、一刻も早く探さなければならない新しい住居よりも、担任を受け持つ生徒の将来を優先して考える索は、もしかしたら玄一と似たもの同士なのかもしれない。

 玄一のことをほたるの父親だと信じている索から「事件のこと、今のお父様の状況など、お話しいただくことになると思います」と一報が入る。警察を交えて面談がしたいと索が申し出た理由には、ほたるが学校を頻繁に休んで、トーヨコをうろついていることも影響していた。実際、彼女の友人であるなっち(大島美優)は、年上男性に言われて婚前契約書を交わすトラブルに巻き込まれており、トーヨコでは未成年の子どもたちを狙う犯罪も多発している。担任の教師としては、見過ごせる状況ではないだろう。

 しかし、学校のことを「みんな悲しい顔で見てくるから嫌になっちゃって」とこぼすほたるにとって、トーヨコは居心地のいい、自分のままでいられる場所でもあった。

 なんとほたるの母親であるともえ(麻生久美子)は、会社のお金を横領して、現在も逃亡中だという。盗まれたお金はスーツケースに詰め込まれていた金額と同額である3226万1570円。ピッタリと辻褄が合ってしまった。それでも、大金を盗んで家に帰ってこない母親を持つ“かわいそうな子”ではなく、ありのままの“楠ほたる”として話を聞いてくれて、楽に過ごせる実家のような場所を彼女は欲していたのだ。

関連記事

リアルサウンド厳選記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「リキャップ」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる