『じゃあ、あんたが作ってみろよ』勝男×鮎美の切ない変化 竹内涼真と夏帆から目が離せない

別れてからどんどん新しい扉を開けていく勝男(竹内涼真)と鮎美(夏帆)の様子が描かれた『じゃあ、あんたが作ってみろよ』(TBS系)第2話。
プロポーズを断り一方的に同棲を解消した鮎美だったが、高円寺の街中でばっちり目が合ったかと思いきや、自分に気づかない勝男の姿に安堵するのではなく、どこかガッカリした様子を見せる。“髪色を変えただけで私だって気づかなくなるなんて”という感想は、翻って「私に気づいてほしい」という彼女の心の内にも思える。どうやら鮎美の中にはまだ勝男がいるようだ。

子どもの頃から“何が好きかより、どうしたら好かれるかだと思っていた”鮎美は、愛され続ける努力を絶やさず、恋愛の先にある結婚、家庭、安定した人生を第一に求めてきた。主語を自分ではなく、常に相手に設定し、モテに全ベットしてきた鮎美は友達もおらず、勝男と付き合ってからはずっと2人だけの時間を過ごしてきたようだ。そして勝男の“理想の彼女でいる”努力を続けてきた結果、鮎美は自分自身の本音がどこにあるのかまったくわからなくなったらしい。

そんな中、たまたま出会った美容師の渚(サーヤ)からの「鮎美さんの普通って何?」「あゆメロの好きな食べ物って何?」という問いかけに答えられない自分に初めて気づく。渚との出会いを皮切りに派手な髪色に、モツ焼きの美味しさ、メガジョッキにチャラい人の趣向品だと思っていたテキーラの魅力や奥深さ……すべて自分には縁がないとなんとなく遠ざけ、知ろうともしなかったものたちに次々に触れていく。新しい発見に遭遇する度に、鮎美は自分の世界が広がっていくことに心躍らせる。渚のヒョイっと事もなげに鮎美のバリアや思い込みを飛び越えていく自由さやフラットさを、サーヤがまさに自然体で好演している。

本作の興味深い点は、鮎美が勝男との別れをきっかけに本当の自分と出会って羽ばたいていくという展開に終始せず、勝男も変わろうと努力していくところにあるだろう。結婚願望なし、料理はしないと宣言する会社の後輩・南川(杏花)の好物であるモツ×コークハイの組み合わせを受け入れ難いと一蹴するのではなく、自分でも試してみる勝男はやっぱり憎めない。そこでこれまでの自分は決めつけてばかりで、鮎美が本当は何がしたかったのか気にしたこともなかったということに思い至る。






















