岡部たかし、衝撃の“落ち武者”姿 「真剣にやっていることがズレているから笑える」

髙石あかりがヒロインを務めるNHK連続テレビ小説『ばけばけ』が現在放送中。松江の没落士族の娘・小泉セツとラフカディオ・ハーン(小泉八雲)をモデルに、西洋化で急速に時代が移り変わっていく明治日本の中で埋もれていった人々を描く。「怪談」を愛し、外国人の夫と共に、何気ない日常の日々を歩んでいく夫婦の物語。
第2週では貧乏脱出のため、婿探しを決意した松野トキ(髙石あかり)がお見合い作戦を決行。第5話から本格登場した髙石が、多彩な表情と確かな表現力で新ヒロインとして存在感を見せている。
演出の村橋直樹は「役者さんは時代劇ということを意識して現場に入られますが、『たとえ(セリフが)現代っぽく聞こえたとしても、そこは映像的に“時代劇であること”をちゃんと担保しますので、安心して自分を出してください』とみなさんにお伝えしています」とし、彼女の才能についてこう語る。

「髙石さんはご自分でも『トキと私は同じです』とおっしゃっていますが、決して髙石さんに当て書きしているわけではなくて。つまりは、彼女の共感力ですよね。何の役をやっても、大抵『自分だ』と言ってしまう子だと思うんです。役になりきるというよりも、自分の一部を使って演じている。人間は一色じゃないので、“この部分を使うことで、その側面が出る”ということではないかなと。ですから、彼女の“そのまま”を殺さないように、現場ではお芝居をつけています」(村橋)
お見合いシーンでも、お茶を出すまでは実際に目が合わないようステージングするなど、常に髙石が“そのまま”でいられる演出を心がける村橋。だが、第8話でお茶出しを終えて安堵したトキが、廊下に寝そべる場面では事情が違ったと裏話を明かす。
「僕は普段から『自由にやってください』としか言っていませんが、あのシーンはカツラ問題がありまして。本当は障子を閉じた瞬間にバーッとそのまま倒れたかったんですが、実は“カツラを縁側まで持っていく”という細かい技術が込められています(笑)。うまく体をこなして、なんとかそこまで持っていっている。『自由にやってください』とはとても言えない現場でしたが、それを感じさせないところが髙石さんですし、感情がバーンと溢れる場面として、彼女ならではの味が出ていると思います」(村橋)

続く第9話では、二度目のお見合いに臨む司之介(岡部たかし)が、まげを落としてまるで落ち武者のような姿に。以前、傳(堤真一)が爽やかな散切り頭で登場しただけに、そのギャップに笑った視聴者も多いはずだ。
村橋は「岡部さんはおどけている役ですが、おどけないから面白いんですよね。司之介は『これが誠意だ』と思って散切り頭にして、彼なりに誠実な身なりをしていると本気で思っている。真剣にやっていることがズレているから笑えるわけで、そこを体現できる数少ない役者さんだと思っています」と語る。
さらに、「周りから見たらくだらないことを当の本人は真剣にやっている。それがふじき(みつ彦)さんの台本の性質だと思うんです」と続け、「岡部さんは、そんなふじきさんと舞台でずっと一緒にやっていらっしゃったこともあって、『真剣にやるから面白いんだ』ということを体現してくださる。ですから僕は、いろいろな役者さんに『岡部さんを見てください』と言っています。影の演出家ですね。(視聴者に対して)『はい、笑ってください』という芝居を誰もやらない現場になっているのは、岡部さんのおかげだと思っています」と感謝した。
なお、髪型について制作統括の橋爪國臣は「まげから散切り頭にすると、剃っている部分があるので、司之介のような見た目になるんですよね。時代劇ではそこを表現するのが大変なので、“しばらくして伸びました”ということが多いんですが、実際の史実を調べると、カッコ悪い落ち武者スタイルになってしまう人たちがいて、それが恥ずかしいからみんな帽子をかぶったり、髪が伸びるのを待ってから切ったりしていた。今回は、そういった『普段描かれないところをやってみたら面白いよね』ということで、特殊メイクを使って表現しています」と補足した。
トキたち家族の自然な掛け合いが見どころでもある『ばけばけ』。無事にお見合いは成立するのか。そして、松野家は貧乏脱出となるのか。
■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK






















