木村文乃×ラウールが見せてくれた大きな夢 『愛の、がっこう。』は“人間を救う”作品だった

「大きすぎて背負いきれない夢」は、逃げずに向き合った、その先にある。学習障害の一種である発達性ディスレクシアを抱えるカヲルにとっては、専門学校の入学試験に合格することが今の夢であり、愛実にとっては何があっても彼を愛しぬくことが夢だ。でも大半の人が、「大きすぎて背負いきれない夢」を諦めて、「こうあるべき」無難で真っ当な人生を生きているのが現実ではないか。百々子(田中みな実)が新生活を祝うとともに「私が愛実だったら適当に気持ちごまかして離れる」と釘を刺すように。息子への期待という勝手に膨らませ過ぎた夢を背負いきれずに放棄してしまった過去を持つカヲルの母・奈央(りょう)が愛実に対して「きれい事じゃすまない、いつかきっと逃げ出したくなる」と忠告するように。それに対し愛実は「だったら一緒に2人で逃げます」と返すのだ。それはきっと、最終話の階段の場面のあまりの美しさに集約されるように「楽しくて最悪な逃避行」のはじまりだから。

だが、本作の主人公は夢を追う人だけではない。「自分にはできないこと」をする愛実とカヲルが眩しくて、時に反発しつつも応援せずにはいられない人々のドラマでもある。第9話終盤における愛実とカヲルの再会への道のりが、カヲルへの竹千代(坂口涼太郎)からの別れのカルピスと、突然押しかけてきた川原からのドーナツ(それぞれ愛実との関係の進展を応援して去っていった)、そして、屋上の愛実からの「ファイト!」の文字という連鎖からなっていたように。

愛実とカヲル、それぞれのよき理解者である副担任の佐倉(味方良介)や百々子、竹千代の応援はもちろん、愛実の父・誠治も川原も、カヲルの母・奈央も、自身の夢を託すかのように、最終的には2人の背中を押していくのである。「頑張れ頑張れ川原」ではないが、まさに「頑張れ、頑張れ、頑張れ」と。祈るように彼ら彼女らは、そして私たち視聴者は、2人を通して果てしなく大きな夢を見たのだと思う。
井上由美子が完全オリジナルストーリーで描く、すれ違うことすらないはずの2人が出会い、惹かれ合うラブストーリー。高校教師・小川愛実が、文字の読み書きが苦手なホスト・カヲルに秘密の“個人授業”を続ける中で次第に距離を縮めていく。
■配信情報
木曜劇場『愛の、がっこう。』
FOD、TVerにて配信中
出演:木村文乃、ラウール(Snow Man)、田中みな実、中島歩、坂口涼太郎、味方良介、野波麻帆、早坂美海、荒井啓志、別府由来、りょう、筒井真理子、酒向芳、沢村一樹
脚本:井上由美子
演出:西谷弘
プロデュース:栗原彩乃
音楽:菅野祐悟
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
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