『正体』メイキングで知る横浜流星の本気度 吉岡里帆や山田孝之との貴重なエピソードも

『正体』メイキングで知る横浜流星の本気度

 映画『正体』のBlu-ray&DVDが8月27日に発売された。豪華版Blu-rayには、特典映像として、『正体』密着ドキュメンタリーと予告編集が収録されている。なかでも密着ドキュメンタリーは、メイキング映像やキャストのインタビューを含んでおり、本作の舞台裏を明かす貴重なものだ。本稿ではメイキング映像の見どころを紹介しながら、『正体』という作品の成立過程に光を当てたい。

 最初に挙げたいのは、逃亡犯・鏑木慶一を演じる横浜流星の役作りだ。高校生の鏑木は、一家惨殺事件の現場に居合わせたことで、無罪にもかかわらず、殺人犯として死刑判決を受けるが、看守の制止を振りきって護送車から逃げ出す。こうして潜伏の日々が始まるが、その途上で鏑木は姿を隠し、身分を偽りながら各地を転々とする。

 鏑木の狙いは終盤で明らかになるのだが、作中では別の人間になりすます。建設現場の作業員「ベンゾー」、ウェブライターの「那須」、水産加工場で働く「久間」、介護施設の職員「桜井」、そして鏑木。異なる外見と名前、経歴を持つ、別の人格。ただし、すべて一人の鏑木という人間だ。この「外から見ると別の人だが、明確な目的を有して行動するキャラクター」という多面的かつ一貫したペルソナを、横浜流星が意欲的かつ丁寧に演じ分けている。

 メイキング収録のインタビューで、5つの顔を持つ鏑木について、横浜は「なりすましているだけで別人ではない」と述べており、「やりすぎにならないように監督やヘアメイク、衣装さんと全員で考えて、リアルを追求した」と役作りについて語っている。それによって、横浜が言う「本当の鏑木」が出てくる終盤のシーンがより胸に迫ってくる。

 座長として臨んだ本作は、横浜も準備段階から作品に関わった。3度目のタッグとなる藤井道人監督には「僕のほうからもこの台詞をしっかり伝えたいとか、ここはどうすんだろうとかっていうのを監督に提案」する機会が増えるなど、自ら積極的に参画。そんな横浜の姿勢について、藤井監督は「座長としてやらなきゃいけないことをすごく理解して、オンオフがうまく使えるようになった」と称賛する。

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