『放送局占拠』プロデューサーが語る実現秘話 『潜入兄妹』との関係&ミスリードのヒント

『放送局占拠』Pが語る『潜入兄妹』との関係

 視聴者を考察に没頭させる『占拠』シリーズも、ついに3作目。同じ制作チームによる『潜入兄妹』(日本テレビ系)を挟んで制作されている『放送局占拠』(日本テレビ系)では、これまでの2作とは異なる工夫がいたるところに感じられる。

 変化させた部分と、あえて変えていない部分。日本テレビを代表するシリーズドラマに成長した『占拠』シリーズのスタッフは、『放送局占拠』にどう挑んだのか。チームを牽引するプロデューサーの尾上貴洋に、ユニークな発想の裏側と苦労、『放送局占拠』に込めたメッセージを語ってもらった。

『潜入兄妹』があったから生まれたアプローチ

——『放送局占拠』の制作はいつ頃決定したのでしょうか?

尾上貴洋(以下、尾上):2024年1月クールに放送された『新空港占拠』(日本テレビ系)の第7話、第8話くらいに3作目をやろうかという話になりました。2024年10月クールに放送された『潜入兄妹』に関してはもともと企画を出していて、ちょうど『新空港占拠』の後に制作の機会をいただけたので、別作品を挟んで3作目への挑戦となりました。

——『潜入兄妹』を経て、『放送局占拠』のアイデアへの影響はありましたか?
 
尾上:脚本は同じく福田哲平さんなのですが、全く別の作品に取り組んで、事件のアイデアが増えた実感はありますね。例えば、第4話の武蔵(櫻井翔)が密室で毒グモに刺されてしまって身動きが取れず、周りが積極的に動く展開は、これまでにはあまりない展開だったと思います。こういう展開は『潜入兄妹』に多いものだったので、別のアプローチを考える参考になったと思います。『占拠』シリーズは、常に時間の制約がある中で事件を解決していく展開の速さが特徴ですが、『潜入兄妹』のほうは真逆でバレるのかバレないのかを長いスパンで見せながら駆け引きしていくような展開が多かったんです。アイデアの出し方やストーリー展開のアプローチが違ったように思います。

——別作品を挟んで改めて感じる『占拠』シリーズの変わらない魅力を言葉にすると、どんな部分だと思いますか?

尾上:目立つのはやっぱり武蔵をはじめとした登場人物たちの口癖とお面を外してキャスティングを明かす部分ですね。ただ、物語としてはどう転ぶかわからないスリリングな展開が一番の魅力だと思いますので、武装集団メンバーは誰が出演しているのかに関係なく楽しんでもらえる作品になっていると思います。あとは、裏切り者の存在です。序盤は画面に映っている人がみんな疑わしく見えるのも『占拠』シリーズのお約束だと思っています。

——3作目となる『放送局占拠』で、これまでと差別化したポイントはどういった部分でしょうか?

尾上:前半の一番大きな部分でいうと、第5話で明らかになった放送局占拠事件と伊吹(加藤清史郎)と青鬼(菊池風磨)の対峙の時間軸のズレです。脚本の福田さんからのアイデアで「やれたらいいね」と話していました。いざ、映像になってどう伝わるんだろうと不安だったのですが、放送後の反応を見てうまくいったのかなと安心しています。気づいてくださっている方も多いですが、よく見ると地面の湿り方が違ったり、始末屋(谷川昭一朗・北村優衣)のクリーニング屋のカレンダーが4月になっていたりと、ヒントがちりばめられています。バレすぎたらつまらないので、ギリギリ見つけられるレベルだったと思います。

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