清原果耶はたまらなく愛おしかった 『初恋DOGs』最終回が教えてくれた本当に大切なこと

「錯覚でもいい、そう思ったので本能に従って来てみました」
傷つきたくないがために頭でっかちになってしまった大人たちが、本当に大切なものに手を伸ばせた『初恋DOGs』(TBS系)最終話。
ソハ(ナ・イヌ)の帰国は、快(成田凌)の病院と、それを弁護する愛子(清原果耶)のピンチを切り抜ける最大の切り札となった。裁判に勝訴したことで、しろさき動物病院の名誉を挽回できたのはもちろんのこと、長年に渡る相良(森崎ウィン)とのわだかまり解消にも繋がった。

「ごめん、俺はずっとお前のせいにしてた。いつからか人と関わらないようにしてるのは昔のことがあったからって。でもちゃんと話せば良かったんだ、お前とも。友達だったんだから」と、自分のことを陥れようとした相良に頭を下げ、「友達」という言葉を使えた快。彼はソハとの共同生活、また愛子との関わりの中で、自分の心を開くことができ、過去の一件と決別し、乗り越えられたのだろう。病院スタッフのことを飲みに誘い、みんなを驚かせていた快の姿が見られて安堵した。
そして、ソハは、何より関係性が変わることに臆病になりすぎている快と愛子の2人の背中を大きく押し出した。

「パートナーになってほしい」というスマートで覚悟あるソハからの告白を断る愛子に、「快さんはどうするの?」とすかさず問いかける。「始まったら終わる、ダメになる、それが怖い?」と問うた後に、自分は風にでも雨にでも虹にでもなるから、自身の気持ちに素直になるようにと愛子の心の強張りを溶かすような声をかける。そんなソハは大人であったかい。
愛子役を演じる清原は、何かしら自分の殻に閉じこもったところがある役どころを演じるのが上手い。朝ドラ『おかえりモネ』(NHK総合)でのヒロイン役を筆頭に、『ファイトソング』(TBS系)での主人公など、何かを諦めていたり失意の中にいながら、それをも受け入れて淡々とやり過ごそうとする役柄を好演してきた。そこに本作のように“仕事のできる完璧主義者”という要素が加わりラブコメ作品に投入されると、なんとも不器用で歯痒いまでに等身大のキャラクターを魅力十分に演じてくれた。

「ただ会うために待っているなんて、ものすごく好きみたいじゃないですか」
そんなふうにふてくされる愛子はたまらなく愛おしい。素直になりきれないながらに時に一歩踏み込んでしまう。清原は、快のことが気になって仕方ないし、知りたいし近づきたいと願ってしまう愛子の、本人でも抑えきれない“本能”を控えめな一挙手一投足に宿らせていた。
過去の一件から人を信じ切ることができない快と、想いは風化していくことを嫌というほど知っている愛子。それぞれに固く閉ざした心の一部分を、風のようなソハが優しくノックし撫で、そして2人が大事なものに向かって駆け出せるように助走を促す。“このまま”なんてことはあり得ないことを一番よく知っているはずの快と愛子でさえ、こと自分たちのこととなると関係性が変わらぬように、何か決定打となるようなことを互いに避けていた。しかし、最後はソハの後押しを受けて、互い思いを伝え合い結ばれることになった。

これは大人なりに身につけた処世術だったりするが、「誰かを好きになる、それって素敵」と事もなげに言えてしまえるソハの柔和な声の前でそれはあまりに無力だ。ソハはあらためて思いを伝える大切さ、誰かを愛する喜びを教えてくれた。愛子と快、ソハの3人が揃って物語は終えた。犬を通して特別な絆で結ばれた3人のかけがえのない関係性も変わらず続いていることが何より心強く映った。
TBSドラマチームと韓国の制作会社STUDIO DRAGONが初の共同制作を務める、愛犬同士の一目ぼれから始まるラブストーリー。離婚訴訟を専門に手掛ける敏腕弁護士・愛子、獣医・白崎快、韓国からやって来た御曹司ウ・ソハの奇妙な三角関係が描かれる。
■配信情報
火曜ドラマ『初恋DOGs』
U-NEXT、TVerにて配信中
出演:清原果耶、成田凌、ナ・イヌ、萩原利久、宮澤エマ、なだぎ武、野呂佳代、永瀬莉子、NOA、円井わん、坂井真紀、深田恭子、岸谷五朗
原案:『DOG한 로맨스』(Studio TooN・LINEマンガ連載中)
脚本:金子ありさ
演出:岡本伸吾、ノ・ヨンソプ、伊東祥宏
プロデューサー:宮﨑真佐子、荒木沙耶、車賢智
協力プロデューサー:キム・ギョレ
共同制作:STUDIO DRAGON
©TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/hatsukoi_DOGs_tbs/
公式X(旧Twitter):@hatsukoi_dogs
公式 Instagram:hatsukoi_dogs
公式TikTok:@hatsukoi_dogs






















