『DOPE』“才木”髙橋海人の慟哭が胸を打つ いよいよ“ジウ”井浦新との直接対決が開幕

『DOPE』髙橋海人の慟哭が胸を打つ

 髙橋海人と中村倫也がW主演を務める『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)。いよいよ物語は最終決戦へと向かい、第9話ではジウ(井浦新)が仕掛けた“ゲーム”が本格的に幕を開けた。才木(髙橋海人)の過去と家族の秘密、そして渋谷を舞台にした連続爆破テロという未曽有の事件。これまで積み重ねられてきた伏線が大きなうねりとなり、才木たちを容赦なく呑み込んでいく。

 特捜課に戻ろうとした才木の前に姿を現したのは、脱走中の陣内(中村倫也)だった。警察に監視されていると知らされ、2人は足早にその場を離れる。才木の不安定な様子に違和感を覚えた陣内が問い詰めると、才木はついに自らの口で「父がDOPEを生み出した」と告白する。これまでずっと胸に秘めてきた重荷が一気に溢れ出し、全て自分のせいで陣内の人生を壊したと自暴自棄に呟く才木。その姿に、陣内は「息子が背負う必要はない」と静かに声をかける。香織を失った過去を抱える彼だからこそ、その言葉にはただの慰めではない説得力があった。

 陣内が明かしたジウの目的。それは才木の力の解放だった。才木は「選ばれた人間」であり、その能力を完全に開花させるためには“多くの血”が必要だと告げる。獄中の囚人たちを解放し、DOPEを服用させたのもすべてはその布石。ジウの歪んだ理屈の前に、才木は怒りを募らせるしかない。陣内を含め、大切な人々がジウのゲームに巻き込まれていく現実は、無力感と怒りを同時に突きつけていた。

 一方、ニコラス(フェルナンデス直行)もまたジウと接触。その圧倒的な力の前に、これ以上はついていけないと無念の決断を下す姿は、正義を掲げてきた特捜課の一員としてあまりに重く、ジウという強大な敵の存在感を改めて突きつけるものだった。そしてついに、ジウから才木に直接の連絡が入る。ゲームの始まりだという宣言とともに渋谷駅前で爆発が発生。さらに残り3か所で同じことが起きると告げられ、都市全体が恐怖と混乱に包まれていく。

 その直後、陣内から爆破犯の所持品を受け取った才木は、サイコメトリーで映像を読み取る。見えたのは残り3か所のうち2つの犯行予定地。しかし最後の1か所だけはどうしても掴めないまま、特捜課は現場に急行する。ジウの手下との死闘の中で、綿貫(新木優子)たちは犯人を確保するが爆破を阻止することは叶わず、街には再び炎と絶望が広がる。才木の能力で回避できた部分もあったが、守りきれなかった現実が彼の胸をさらに苛む。

 オフィスで現場を支えていた棗(熊井啓太)は、連続爆破に規則性があることに気づく。卓越した記憶力を駆使して答えを導き出そうとするが、その矢先、特捜課に侵入者アラートが鳴り響く。防犯カメラに映っていたのは異能力ハンターの寒江(松角洋平)と藤川(小倉史也)。激しい攻防の末、致命傷を負った棗は最後の力を振り絞り、残された犯行予定地を才木に託して息を引き取る。その瞬間まで仲間を思い続けた棗の姿は、第9話の中でもひときわ胸を打つ場面だった。

 やがて才木の前に現れたのは泉(久間田琳加)。彼女から母・美和子(真飛聖)の指輪を手渡された才木が見た映像には、「バイオエイル遺伝子研究所」に潜入した寒江と藤川、そして美和子と結衣(蒼戸虹子)の姿が映っていた。だがそこに現れたのは、千葉(奥貫薫)の姿を借りたジウ。異形の力を振るい、寒江を容赦なく葬り去る。ジウが向かう先は浄水場。そして残された言葉は「なぜ私は私なんだろう。私はあなたで、あなたは私」。哲学的とも狂気的とも言えるその一言が、彼の目的の深淵を垣間見せる。

 第9話は、才木と陣内、それぞれの背負うものを浮かび上がらせただけでなく、ジウという存在が単なる“敵”にとどまらないことを強烈に印象づけた回でもあった。仲間を失いながらも進まざるを得ない特捜課。そして最終回を前に、観る者もまたジウの問いに答えを求められているかのようだ。

『DOPE 麻薬取締部特捜課』の画像

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』

木崎ちあきが手掛けた同名小説を原作を実写化した麻取アクション・エンターテインメント。謎に包まれた新型ドラッグ“DOPE”が蔓延している近未来の日本で、正反対のバディがDOPEによって巻き起こる不可解な事件の解決に挑んでいく。

■放送情報
金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:髙橋海人、中村倫也、新木優子、三浦誠己、豊田裕大、久間田琳加、忍成修吾、入山法子、佐野和真、蒼戸虹子、小池徹平、真飛聖、伊藤淳史、井浦新
原作:木崎ちあき『DOPE 麻薬取締部特捜課』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一
演出:鈴木浩介ほか
プロデュース:長谷川晴彦、佐藤敦司
音楽:内澤祟仁
主題歌:Uru「Never ends」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
編成 :杉田彩佳、松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DOPE_tbs/
公式X(旧Twitter):@dope_tbs
公式Instagram:@dope_tbs

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