『DOPE』明かされた真相や怒涛の展開を振り返る 試され続ける髙橋海人と中村倫也の絆

『DOPE』試される髙橋海人と中村倫也の絆

 髙橋海人と中村倫也がW主演を務める金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系)が、8月15日の第7話を経て最終章へと突入した。

 ドラマが発表された時点では、現代日本を舞台にした麻薬取締官たちの奮闘物語かと思いきや、特捜課のメンバーは異能力の持ち主というSF要素が盛り込まれていることに驚き、少々身構えた視聴者もいたのではないだろうか。

 特捜課のメンバーと同様に、髙橋が演じる新人麻薬取締官の才木優人も未来予知という異能力の持ち主。SF要素あり、アクションありと、これまで様々な作品に出演してきた髙橋の経歴を踏まえると“新鮮”な感覚を覚えた。

 第1話では、密売人を検挙するための現場で、才木が勝手な行動を取って解雇されてしまう。だがそれは、才木をDOPEの取り締まりを目的とする麻薬取締部特殊捜査課(特捜課)へスカウトするための道筋だったのだ。第1話では、才木が驚きの表情を浮かべる場面が多く映し出され、そのどこか心許ない表情や仕草が、視聴者を迷わせることなく物語の世界へと誘う役割を果たしていた。

 特捜課の一員となった才木だが、実は母がDOPE依存者という複雑な事情を抱えている。一方、第2話では陣内(中村倫也)の妻・香織(入山法子)が妊娠中に何者かに殺害されたという悲しい過去も明かされた。陣内がDOPE使用者を容赦なく撃つ理由、そして真の目的も伝えられた。犯人の更生を願う才木とは正反対に思えた陣内だが、実は才木の幼少期に命を守ってくれた人物だったことが判明し、反対に陣内も才木の未来予知を頼るなど、平行線に見えた2つの線のわずかな交わりを感じさせた。

 普通の人間だったはずが、DOPEによって異能力を手にし、その力に飲み込まれてしまう。様々なドーパーたちの奇行を目の当たりにするにつれて、犯人の更生を願うまっすぐな才木も新人ながらに、少しずつ様々な状況を把握していく。

 髙橋の演技には、新人ならではの戸惑いを含ませながら、家族を守るという強い意志と、自分の正義を根底に据えて、表向きは“新人”だが、実はどっしりとした芝居であることが伝わってくる。

 陣内も普段はどこか陽気な雰囲気を漂わせているが、亡き妻、香織のことになると平静を保てない。中村が見せる、陣内のベテランの風格と復讐心から生まれる静かなる狂気。7年もの間、心の中でメラメラと復讐心を燃やし、それを大げさに演じないからこそ伝わってくる底知れぬものがある。正反対バディと名づけられた2人の関係だが、演技面でも化学反応のように関係し、芝居を通した本気のぶつかりあいのような熱気と気迫が伝わってくる。

 さて、第7話では冒頭から息を吞むようなシーンで幕を開け、一つの結末を迎えた。警察官の妻ではなく、ひとりのジャーナリストとして香織が追っていた「5億円盗難事件」の真相。警察内部の人間が関与している可能性があると報じたのだが、戸倉(小池徹平)の私的な事情が複数重なり、それが憎悪の念へと変わって最悪の行動に出たのだった。陣内がいくら恨もうが妻とお腹の子は戻ってこない。犯人への復讐を自分に課していた陣内だが、才木の心からの言葉が響いた様子ではあった。しかし、陣内は最終的に操られるようにして戸倉にとどめを刺してしまう。

 才木は、陣内がジウ(井浦新)に操られていただけだと反発する。正体不明のジウという人物を前に揺らぐ特捜課。初回から登場しては、DOPEを巧みに使い、人を操り、様々な人間の人生を揺るがしてきたジウの真の目的はなんだろうか。

 そして、第6話でまた一つ新たな異能力が宿り、過去が見えるサイコメトリーとなった才木。この能力が終盤戦でも何らかの形で発揮されるのではないだろうか。

 長くて苦しい、いわば壮絶な暗黒の時を駆け抜けてきた2人。最後にどんな結末を迎えるのかは皆目見当もつかないが、いつまでも“正反対バディ”として、近未来の日本の平和を守ってくれることを願うばかりだ。

『DOPE 麻薬取締部特捜課』の画像

金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』

木崎ちあきが手掛けた同名小説を原作を実写化した麻取アクション・エンターテインメント。謎に包まれた新型ドラッグ“DOPE”が蔓延している近未来の日本で、正反対のバディがDOPEによって巻き起こる不可解な事件の解決に挑んでいく。

■放送情報
金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:髙橋海人、中村倫也、新木優子、三浦誠己、豊田裕大、久間田琳加、忍成修吾、入山法子、佐野和真、蒼戸虹子、小池徹平、真飛聖、伊藤淳史、井浦新
原作:木崎ちあき『DOPE 麻薬取締部特捜課』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一
演出:鈴木浩介ほか
プロデュース:長谷川晴彦、佐藤敦司
音楽:内澤祟仁
主題歌:Uru「Never ends」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
編成 :杉田彩佳、松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DOPE_tbs/
公式X(旧Twitter):@dope_tbs
公式Instagram:@dope_tbs

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