井浦新が『DOPE』で放つ異色の存在感 “心の演技”がキーパーソンを任され続ける理由に

井浦新が『DOPE』で放つ異色の存在感

 異能力を持つ麻薬取締官たちが活躍する『DOPE 麻薬取締部特捜課』(TBS系/以下、『DOPE』)。「謎の男」ジウを演じている井浦新が独特の存在感を見せている。

 設定を見るとバチバチのバトルドラマに思えるが、本作では登場人物たちの内面や葛藤をじっくりと描いている点も評判だ。現実離れした「特殊能力」が作品世界に馴染んで見えるのは、緻密な脚本や演出に加えて、俳優陣の演技の力が大きい。

 なかでも異彩を放っているのが井浦だろう。ジウは白髪姿で黒い服に身を包んでいるが、特技は変装。ラーメン店主、デリバリーの配達員、清掃員などの姿で特捜課の陣内(中村倫也)や、才木(髙橋海人)の母(真飛聖)らに近づいてくる。目的や本心が曖昧なまま、不穏な空気が漂っている。

『DOPE 麻薬取締部特捜課』©TBS

 まるで漫画やアニメのキャラクターのようでありながら妙なリアリティを感じさせるのは、井浦だからこその説得力だと感じる。ジウの変装の一つひとつや何気ない表情。「この男には何かある」と、奥に隠された真意を探りたくなり、目が離せなくなる。

物語に厚みをもたらす井浦の“存在感”

 井浦はこれまで、多様なキャラクターを演じ分けてきた。近年は多くの話題作や高い評価を受けた作品で存在感を発揮している。井浦が演じると、どんなに非現実的な役柄でも、その人物が確かにそこに「存在している」と感じさせるのだ。

  2018年に放送された『アンナチュラル』(TBS系)で演じた中堂系は、法医学者としての確かな腕を持ちながら、無愛想でぶっきらぼうな言動で周囲を戸惑わせるキャラクター。しかし、彼の態度の裏には、過去への深い悲しみと真相を追い求める壮絶な執念が隠されていた。人間味あふれる演技を見せ、中堂は登場人物の中でも特に人気の高いキャラクターとなった。

 2021年の『最愛』(TBS系)で演じた加瀬賢一郎は、主人公・真田梨央(吉高由里子)を常に支え続ける弁護士という役どころ。寡黙で多くを語らないが、梨央への深い愛情と強い覚悟を、優しげな表情の奥に秘めて表現した。その献身的な姿は、多くの視聴者の心に深く響き、「加瀬キュン」という言葉で愛されたほど。

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