佐藤健が真摯に向き合った本当の“カッコよさ” 『グラスハート』は全てのシーンがカッコいい

ドラマパートが流れて人間関係がギスギスしたかと思うと、ライブ演奏が流れるという往復で本作は作られているため、ドラマパートがMV的な音楽パートに奉仕しているようにも感じる。

楽器を演奏する佐藤健たちが俳優であるため、演奏そのものを見せるというよりは、演奏しているミュージシャンの姿を演じる俳優の姿をカッコよく撮ることを第一に考えて、本作は作られている。つまり、全ての要素が俳優のカッコよさを引き出すための舞台装置となっているのだ。
藤谷を演じる佐藤健は、共同エグゼクティブプロデューサーとして本作に関わっている。志尊淳、町田啓太、菅田将暉といった出演俳優は佐藤が直接オファーしたそうだが、その結果、生まれたのが「俳優がひたすらカッコいいドラマ」だったことに、感動を覚える。

豚に姿を変えた飛行機乗りが活躍する宮﨑駿のアニメ映画『紅の豚』のキャッチコピー「カッコいいとは、こういうことさ。」が顕著だが、外見のカッコよさは「中身のない薄っぺらさ」として語られがちで、本当のカッコ良さは外見ではなく内面に宿るという価値観が、大衆の間では今も支配的だ。
だから若い時にビジュアルのカッコよさで評価された男性俳優は、年齢を重ねると「見た目だけだ」と思われることを恐れるあまり「中身」を求め、表面的なカッコよさから降りようとする。だが、佐藤健や菅田将暉は、自分たちが積み上げてきたカッコよさに絶大な自信を持っている。そして、ビジュアル的なカッコよさを積み上げた先にこそ、新しい何かが生まれると確信している。それを強く感じたのが第6話で藤谷と真崎がコラボする場面。このライブシーンは、菅田将暉のカッコよさと佐藤健のカッコよさの戦いで、凄まじいものを観せられたと感じる。
ビジュアル的なカッコ良さを徹底的に追求した先にしか見ることができない景色がある。そこを目指したのが『グラスハート』なのだ。
■配信情報
Netflixシリーズ『グラスハート』
Netflixにて世界独占配信中
出演:佐藤健、宮﨑優、町田啓太、志尊淳、菅田将暉、唐田えりか、髙石あかり、竹原ピストル、YOU、藤木直人
原作:若木未生『グラスハート』シリーズ(幻冬舎コミックス刊)
監督・撮影:柿本ケンサク
監督:後藤孝太郎
脚本:岡田麿里、阿久津朋子、小坂志宝、川原杏奈
エグゼクティブプロデューサー:岡野真紀子
共同エグゼクティブプロデューサー:佐藤健
プロデューサー:アベゴウ
ラインプロデューサー:櫻井紘史
制作プロダクション:ROBOT
製作:Netflix 配信






















