松本まりかが『奪い愛、真夏』でみせる芝居は“カラフル”だ 待ち受ける“苦難”も楽しみに
松本まりか主演のテレビ朝日系金曜ナイトドラマ『奪い愛、真夏』。本作は、脚本家・鈴木おさむが「これで最後」として担当した『奪い愛』シリーズであり、“ドロキュン”を超える“ドロドロキュン”劇場として、現時点で2話まで放送されているが、急展開するストーリーと俳優たちの演技合戦が早くも盛り上がっている。
松本は、『奪い愛』シリーズへの出演が本作で3回目。最初に出演した『奪い愛、夏』(2019年/ABEMA)では、女社長・花園桜(水野美紀)と桐山翼(小池徹平)との激しい三角関係を展開する空野杏役を演じ、水野と小池の“サイコ”っぷりがヒートアップしていく中、松本は一見“悲劇のヒロイン”でありつつ、後半、絶妙に壊れていく芝居で確かな存在感を見せつけた。
水野美紀の“怪演”は『奪い愛』を加速させる 超展開はついに“タイムリープ”にまで到達
松本まりかが主演を務めるドラマ『奪い愛、真夏』(テレビ朝日系)の第1話が、7月18日に放送された。本作は、鈴木おさむが脚本をつと…次なる出演作『奪い愛、高校教師』(2021年/テレビ朝日系)では、バツイチの主人公・露子(観月ありさ)と娘・灯(岡田奈々)が恋する灯の担任教師・三太(大谷亮平)の婚約者・華子役を演じ、観月と松本の“怪演合戦”が展開された。『奪い愛、夏』では“受け”としての感情を見せることが多かった松本だが、『奪い愛、高校教師』では“仕掛け”ていく側に。例えば「人の大切なものを奪っちゃダメだってことだよ。特に愛は奪っちゃダメなんだな」と灯の髪の毛をむしるシーンなどもあり、猟奇的な演技が大きな話題に。
そして、出演3作目となる今作『奪い愛、真夏』では、行き詰まった人生をリセットすべく、新たな一歩を踏み出す海野真夏を演じている。元不倫相手にそっくりな御曹司社長・空知時夢(安田顕)と出会ってしまい、時夢の妻・未来(高橋メアリージュン)や母・三子(水野美紀)、そして未来の妹・花火(森香澄)たちによって様々なかたちで翻弄される役どころだ。
今回、真夏を演じるにあたり、松本は「“引き算”の中にある面白さに挑戦したいと思いました。引き算をしながらも、ちゃんと“血の通った人間”として演じていけたらと考えています」と語っている(※1)。
松本まりかが語る『奪い愛』シリーズの極意 「“引き算”の中にある面白さに挑戦したい」
2017年の金曜ナイトドラマ『奪い愛、冬』(テレビ朝日系)を皮切りに、2019年に『奪い愛、夏』(ABEMA)、2021年には『…第2話が終わった時点では、真夏は“苦しさ”や“つらさ”と対峙する場面が多いものの、何とか正しい方向へと舵を切ろうとする“強さ”を見せている。それがこれまで出演した『奪い愛』シリーズにおけるキャラクターと大きく違うところでもあり、松本はその“強さ”の部分を見事に演じている。
また、今作の松本は、“カラフル”という言葉がふさわしい演技の振り幅を見せている。以前勤務していた出版社の後輩・日熊元也(白濱亜嵐)に好意を寄せられているが、これに対して真夏は“ツンデレ”の“デレ”がない“ツンツン”女子で超クール。告白しても反応がないことを責める元也に「リターン求めて恋するなら、人を好きになるな!」と言い放つなど、2人のやりとりはテンポよく小気味よい。

そして、コミカルなシーンではノリノリの演技を見せる。例えば、時夢から腕時計が似合っていないと言われた際、「TOWANIで働けることになったから買ったんです。高かったです。なのに、そこまで言われなきゃいけませんか? それはもう時計ハラスメント、“トケハラ”です!」と断罪してみたり、タイムリープでキスを回避できた翌朝、キスの盗撮写真が届いていないと知った時に見せた力強いガッツポーズなど、コメディエンヌっぷりが存分に発揮されている。
松本は2000年放送のNHKドラマ『六番目の小夜子』でデビュー後、2018年にドラマ『ホリデイラブ』(テレビ朝日系)で注目され、“あざとかわいい”が松本を形容するワードとして広く認識されるようになる。『最高のオバハン 中島ハルコ』(2022年/東海テレビ・フジテレビ系)では、地味なアラフォー独身女子役を演じ切り、40歳直前に『ミス・ターゲット』(2024年/ABCテレビ・テレビ朝日系)でゴールデン・プライム帯連続ドラマ初主演を果たす。
松本の最大の武器は、甘い声とあどけない表情。だが単なる“あざとかわいい”には止まらず、“遅咲き”だからこそ、人間の業の深さを突きつけてくるような目線の強さを併せ持つ。

以前、インタビューにおいて「芸能界にいるのに、誰からも興味を持たれないって、いかに恐ろしいかわかります?」と語っており、「負け続けた18年の間に、他人の痛みや自分の至らなさが痛いほどわかるようになりました」とも言っている(※2)。そんな松本だからこそ、奥行きの豊かな“演技の玉手箱”が構築され、どの役も松本が演じることで作品の世界観やテイストが強化されるのだろう。























