『明日はもっと、いい日になる』風間俊介×三浦綺羅の名演が光る 心に残る柳葉敏郎の台詞

『明日はもっと、いい日になる』風間俊介名演

 だが、少なくとも悩むのはどちらも大事だからこそ。蜂村が功太への愛情があるからこそ他人の家庭のことにも親身になれるように、吾郎が仕事に没頭するのも蓮を愛すればこそだった。蓮の母親が途中で治療を中断したのは、自分の治療費にかかるはずだったお金を功太に残してあげたかったから。その願いを託された吾郎は、蓮が将来どんな人生を選んでもいいように、少しでも多く稼ごうとしていたのだ。

 でも、その前にすべきだったことは蓮の心と向き合うこと。吾郎は本当のことを話したら蓮が母親の死を自分のせいだと思ってしまうのではないか、茂は安易な励ましの言葉をかけたら蓮がもっと傷つくのではないかと、色々な理由をつけて蓮と向き合うことを避けてきた。子どもの心を守るのは保護者の務め。けれど、傷つけたくないがために目を逸らすことは、子どもをひとりぼっちにするのと同じだ。

 蜂村は蓮に「悲しかったら、泣けばいい。今、君がすべきことは自分の気持ちに素直になることだと思う」と語りかける。それは大人も一緒。何も正しい言葉をかける必要なんてない。吾郎や茂に必要だったのは、大好きな母親を失った蓮と悲しみや寂しさを共有することだった。

 功太も蜂村にただ、自分の気持ちに寄り添ってほしかったのではないだろうか。蜂村が目の前の仕事に真剣に向き合っていることも、また家族3人で暮らすという願いは叶わないことも、幼いなりに理解している。でも、沙織が別の人と再婚したら蜂村と会えなくなるかもしれないという不安や、蜂村が自分よりも他の子どもの方が大事なのではないかという寂しさを分かってほしかった。それなのに功太との約束を守れない自分にその資格はない気がして、真正面から向き合うことができなかった蜂村。蓮たち家族の姿に背中を押され、功太を一番愛していること、そしてこの先もその思いは変わらないことを伝える。風間俊介と三浦綺羅の名演が光る親子の抱擁は涙なしには見られなかった。

 家庭と仕事の両立は永遠の課題。「どうしても家庭側が頭を悩ます問題になっちゃってますけど、本当は職場側も同じくらい考えるべき問題なんですよね」という蔵田(林遣都)の台詞も心に留め置きたいところ。児相における人手不足が課題となっている昨今だが、このドラマをきっかけに児童福祉司の仕事に興味を持つ人も中にはいるだろう。そういう意味で、エンタメ作品は社会課題解決の一助になっていると言えるのかもしれない。

『明日はもっと、いい日になる』の画像

明日はもっと、いい日になる

児童相談所を舞台に、そこで働く個性的な面々たちがこどもたちの純粋な思いに胸を打たれ、その親までも救っていく姿描く完全オリジナルストーリーのヒューマンドラマ。

■放送情報
『明日はもっと、いい日になる』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:福原遥、林遣都、生田絵梨花、小林きな子、濱尾ノリタカ、莉子、西山潤、町田悠宇、勝村政信、風間俊介、柳葉敏郎ほか
脚本:谷碧仁(劇団時間制作)ほか
演出:相沢秀幸、下畠優太、保坂昭一
プロデュース:宮﨑暖
主題歌:JUJU「小さな歌」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロデュース:熊谷理恵、三浦和佳奈
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
©︎フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/ashitawamotto/
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