『スーパーマン』に仕込まれたトリビアの数々 原作コミックや過去作からネタバレありで解説

白いエイリアン、KAIJU、巨大クラゲのような異次元モンスターは?
ポケット・ユニバースでルーサーたちが移動する乗り物を漕いでいる(?)白いエイリアンが登場します。その直前のシーンでルーサーがスーパーマンのことを“お前なんか火星人と変わらん”みたいに言う。この文脈から考えて、あの白いエイリアンはホワイト・マーシャン(白い火星人)と思われます。コミックでは好戦的な種族で、ジャスティス・リーグのメンバーある、緑の火星人マーシャン・マンハンターと因縁があります。ということはDCUに近々マーシャン・マンハンターが出る布石?
KAIJU=怪獣、まさか巨大怪獣対スーパーマンの戦いがスクリーンで観られるとは思いませんでした。ジェームズ・ガン監督は怪獣好きで、GIANT MONSTERではなくKAIJUという単語を使っていますし、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』でメインヴィラン、スターロをちゃんと巨大怪獣として登場させました。スーパーマンのコミックやアニメには巨大怪獣と戦うエピソードがあります。また同僚のジミー・オルセン(今回の映画で大活躍)が怪獣になってしまうこともありました。なので僕は予告でこの怪獣を見たとき、ジミー・オルセンが変身した怪獣と予想していたのですが見事にはずれました。
そしてスーパーマンがジャスティス・ギャングに対応を任せて出動しないシーンがありますよね。なんかとてもキラキラした、カラフルな巨大生物がビル街にふわふわ浮いている。僕は最初コミックに登場する邪悪な人工太陽ソラリスかと思っていたのですが、これもまた違いました。というのも、スーパーマンのロイスに対するセリフの中で「どうせあの怪物は“ディメンショナル・インプ”の類だから、わざわざ自分が助けに行かなくてもいいよ」と。インプには“いたずらをする小鬼”みたいな意味があります。だから河童/カッパの英訳はウォーター・インプだったりするのです。
というわけで、あの怪物は“別次元から来たいたずら小鬼”(というわりにデカいですが)というわけです。DCコミックスにはフィフス・ディメンショナル・インプ/五次元小鬼と呼ばれる種族がいて、時々スーパーマンを困らせます。最も有名なのはミスター・ミクシィズピトルクという、おやじ外観の小人系お騒がせ妖精。将来的にミスター・ミクシィズピトルクをDCUに登場させる布石として“ディメンショナル・インプ”という存在を印象付けたかったのかも。
SNS対デイリー・プラネット
今回の映画で興味深かったのは、ルーサーに操られた猿たちがSNSにスーパーマンを貶める書き込みをするというくだりです。つまりSNSにはびこるフェイク情報がスーパーマンを追い詰めます。これに対しデイリー・プラネットが真実を報道して=ルーサーの悪だくみを暴きます。新聞対SNSともいえる展開ですよね。
以前『スーパーマン・リターンズ』(2006年)の続編が企画された際、コンピューター人間系ヴィランのブレイニアックに操られたWEBメディア対デイリー・プラネットというアイデアがあったそうです。それをこういう形で復活させたのかな? なおデイリー・プラネットにメガネが似合うキャットさんという女性ジャーナリストがいますよね?
ドラマ版『スーパーガール』のシーズン1ではこのキャットさんが重要キャラで登場。スーパーガールことカーラの上司役でした。このドラマでキャットさんを演じていたのはハリソン・フォードの奥さんでもあるキャリスタ・フロックハート。『アリー my Love』のアリー役で有名です。
なぜ南極に“孤独の要塞”? そして『ファンタスティック4』への対抗意識?
今回ちょっと驚いたのがスーパーマンの基地。ここはコミックなどでは“孤独の要塞”と名付けられています。リーヴ版の『スーパーマン』にも登場。しかしその時の“孤独の要塞”は北極でした。だから僕は予告編の解説記事を書く際、「北極にある孤独の要塞も登場」みたいに書いていたのですが(『スーパーマン』本予告は冒頭から衝撃の展開! ジェームズ・ガン監督の“らしさ”満載に)。コミックでは南極に(南極にも)孤独の要塞を造ったという設定があります。恐らくこの映画では「スーパーマンが国際上の取り決めを破って南極に基地を作っている(だからスーパーマンは悪い奴だ)」とルーサーが主張しやすくするために南極設定を採用したのかな。
なおこの基地で4号ロボット/のちにゲイリーと名乗る奴がフィーチャーされてますよね。このロボットの胸に付けられた4という数字が相当目立っている。これは『スーパーマン』のライバル映画がMCUの『ファンタスティック4:ファースト・ステップ』だからではないでしょうか? この4号/ゲイリーの声を演じているアラン・テュディックはウィル・スミス出演の『アイ,ロボット』(2004年)で準主役のロボットであるサニー、『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー』(2016年)のドロイドK-2SOの声を担当しています。
ジャスティング・ギャング役の俳優たちは皆ヒーロー映画経験あり?
マイケル・ホルト/ミスター・テリフィック役のエディ・ガテギは『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』(2011年)でミュータントのダーウィン役(ルーサー役のニコラス・ホルトも本作に出演)。
ガイ・ガードナー/グリーン・ランタン役のネイサン・フィリオンはアニメ映画では2代目グリーン・ランタンのハル・ジョーダンの声を多く担当しています。ハル・ジョーダンは実写版『グリーン・ランタン』(2011年)でライアン・レイノルズが演じていました。またフィリオンは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』シリーズ、『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』にも出演。
ホークガール役のイザベラ・メルセドは『マダム・ウェブ』(2024年)のスパイダーウーマンの一人アーニャを演じています。またお蔵入りした『バットガール』の主役や『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』のラットキャッチャー2役のオーディションを受けていました。
エレメントマン/メタモルフォ役のアンソニー・キャリガンはDCドラマ『THE FLASH/フラッシュ』のカイル・ニンバス/ザ・ミスト、『GOTHAM/ゴッサム』のヴィクター・ザーズ/ミスター・ザーズとヴィラン系を演じています。
なぜ“ウルトラマン役にヘンリー・カヴィル”という噂があったのか?
コミックではウルトラマンは別バースにいる悪のスーパーマンなのです。そしてスーパー同様、同じ“超”という意味でウルトラマンと呼ばれています。今回の映画では別バースのスーパーマンではなく、スーパーマンのクローンという設定なので、スーパーマン役のデヴィッド・コレンスウェットが一人二役で演じました。
しかしもし別バースのスーパーマンという設定が映画でも活かされていたら、前のスーパーマン役者であるヘンリー・カヴィルにこの役をやってもらいたいとファンは願ったわけです。
あのブランドが登場 BIG BELLY BURGER、JITTERS COFFEE、CHOCOS
DCコミックスやドラマに登場する架空のブランドがこの映画にも出てきます。僕が確認できたのは、ボリビアのハンマー戦で熱線攻撃を受けるオフィスはCHOCOS(DC世界のお菓子会社)。スーパーマン対KAIJUのところで、BIG BELLY BURGER(DC世界のバーガーチェーン)の看板、クラーク・ケントが手にしている紙のコーヒーカップのロゴはJITTERS COFFEE(DC世界のコーヒーチェーン)です。特にBIG BELLY BURGERはDCドラマ『THE FLASH/フラッシュ』とかを観ていた人には懐かしいでしょう。クラークが好きなThe Mighty Crabjoysも架空のバンドですが、DCUアニメ『クリーチャー・コマンドーズ』で、このTシャツを登場人物の一人エリック・フランケンシュタインが着ていました。
最大の謎 なぜピースメイカー、フロー長官がいるのか?
さて、僕にとって『スーパーマン』最大の謎はジョン・シナ演じるピースメイカーとティナシー・カジェセ演じるフローが本作に登場することです。両名とも『ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結』『ピースメイカー』に出てきますが、この2作品はDCUが始まる前の、俗に言うDCEU(DCエクステンデッド・ユニバース)のキャラだからです。さらに『ピースメイカー』のシーズン2にはホークガール、グリーン・ランタン、マックスウェル・ロードが出ることが予告で確認されています。つまり、なぜ&どうやってDCEUとDCUがつながるのか? 例のポケット・ユ二バースが絡む? その謎を知るべく、早く『ピースメイカー』のシーズン2が観たい!
以上です。こんなトリビアや前知識がなくても十分楽しめる『スーパーマン』でしたが、リピート鑑賞するときにお役に立つかなと思います。
なお、最後のほうでメトロポリスの危機に立ち上がる救護チームの人たちが出てきますが、彼らのユニフォームの色が青と赤と黄色(ヘルメット)でスーパーマンのコスチュームと同じカラリングです。スーパーマンが人々のヒーロー心を奮い立たせる存在だということを示唆していると指摘する声もあります。
■公開情報
『スーパーマン』
全国公開中
出演:デヴィッド・コレンスウェット、レイチェル・ブロズナハン、ニコラス・ホルト、エディ・ガテギ、ネイサン・フィリオン、イザベラ・メルセド、スカイラー・ギソンド、ウェンデル・ピアース、ベック・ベネット
監督:ジェームズ・ガン
配給:ワーナー・ブラザース映画
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公式サイト:superman-movie.jp

























