トム・フェルトンが再び“マルフォイ”に 舞台版『ハリー・ポッターと呪いの子』の“魔法”

 ドラコがハリーと肩を並べ、息子たちのために共に戦うという展開は、映画当時であればファンフィクションの域を出なかったかもしれない。フェルトンの出演は、その「もしも」にリアルな肉体と時間の重みを与える。なぜなら、彼が再演決定の際に語った通り、公演が始まる頃にはトム自身が劇中でのドラコの年齢になるからだ。つまり、単なる続編ではなく、物語と俳優の両方が時間を経て成熟し、かつて成し得なかった「理解」や「和解」を舞台上で体現する瞬間を私たちは目の当たりにすることができるのである。

『ハリー・ポッターと秘密の部屋』©2024 Warner Bros. Ent. All Rights Reserved. Wizarding WorldTM Publishing Rights © J.K. Rowling WIZARDING WORLD and all related characters and elements are trademarks of and © Warner Bros. Entertainment Inc.

 ニュースを受けて、映画版でドラコの父ルシウス・マルフォイを演じたジェイソン・アイザックスがチケットを即購入したというエピソードも微笑ましい。(※)二人はプライベートでも親しい関係にあり、SNSでは度々ツーショット写真を投稿してファンを喜ばせている。父と子を演じた二人が、年月を経ても互いをリスペクトし続ける姿もまた、シリーズが単なる作品を超えて「人生の一部」となっていることの証左である。

 『ハリー・ポッター』という作品が描いてきたのは、魔法や冒険だけではない。成長と許し、選択の重さと運命への抵抗、そして過去との和解といった、極めて人間的な物語である。『呪いの子』のドラコがまさにその象徴であることを考えると、この報せそのものが私たちファンにとって、そしてフェルトンにとっても人生と物語が交差する「続編」的なグッドニュースと言ってよいだろう。

 フィクションと現実の時間が重なり合い、あの頃想像し得なかった未来が、今、目の前で広がっていく。これ以上に心躍る、魔法のような瞬間があるだろうか。

参照
※ https://x.com/jasonsfolly/status/1931878796988228021?s=46

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