芳根京子×キンプリ 髙橋海人、初共演で示す“初めての表情” 男女入れ替わりをどう演じる?

 芳根が演じる、女性の身体を持った男性・坂平は、家族や弟、友人への思いが強く、また女性の体を持ったことで独特の不利益を被ることになる。そして、どうすることもできない怒りを、ある意味同じ被害者でもある水村にぶつけていく。

 現在放送中のドラマ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)や、ドラマ『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)、『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)、映画『雪の花 ―ともに在りて―』など、健気で純真無垢なヒロインが続いていた芳根だが、出世作の一つである映画『累-かさね-』で見せたように狂気的な芝居を見せる一面も。小説では文字で表現されていた坂平のどうにもならない怒りや悲しみ、諦めなどを、表情や声色、ふとした仕草などで繊細に表現してくれるだろう。

 そして、精神的に崩れやすい坂平を支えるのが、男性の身体を持つことになる女性・水村だ。戸惑いが大きい坂平を、それを表に出さない水村が支える関係性が描かれていく。そんな水村を演じる髙橋海人は、ドラマ『姉ちゃんの恋人』(カンテレ・フジテレビ系)や『ドラゴン桜』(TBS系)、映画『Dr.コトー診療所』などでは、作中の中心人物に引っ張ってもらうキャラを演じることが多かったように感じる。対して本作では坂平の精神的支柱として、髙橋がこれまで見せたことがないような表情、セリフ回しが見られるかもしれない。また、ドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)の若林役で見せたような繊細な表現力が、男性の身体を持った女性を演じる時にどう生かされるのかも楽しみだ。

 坂平役も水村役も、互いにとっての新境地になることは間違いないだろう。15年間嬉しいことも悲しいことも共有して支え合い、複雑に互いのことを考えてきた坂平と水村の関係は、恋人でも友人でもなく運命共同体としか呼べない。それぞれの携わった作品で、互いにしかできない表現を見せてきた芳根と髙橋も、役柄と同じような唯一無二のバディ感を丁寧に演じてくれるはずだ。

■公開情報
『君の顔では泣けない』
11月、全国ロードショー
出演:芳根京子、髙橋海人
原作:君嶋彼方『君の顔では泣けない』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督・脚本:坂下雄一郎
音楽:Inyoung Park
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(日本映画製作支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
© 2025「君の顔では泣けない」製作委員会
公式サイト:https://happinet-phantom.com/kiminake/
公式X(旧Twitter):@kiminake_movie
公式Instagram:@kiminake_movie

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