『なんで私が神説教』は教師ドラマの新機軸に? 広瀬アリスは“説教”とどう向き合うのか

広瀬アリス主演の新ドラマ『なんで私が神説教』(日本テレビ系)が始まった。このタイトルワーク、あるいはメインビジュアルに描かれた広瀬の情けない表情が示すように、「仕方なく」高校教師になった麗美静(広瀬アリス)を主人公とする新しい「教師もの」だ。
ちょうど3月まで放送されていた『御上先生』(TBS系)のような、「まっとう」な教師ドラマとは違った味が楽しめそうである。赴任直前までニートだったという静が、「弱者」や「等身大」の立場だからこそ言える露悪的な物言いで「意外な教訓」を生徒たちにもたらしていく……といった展開が続くだろうとあらすじ時点では想像がつく。
そして期待通り、第1話は一部分を除いて概ね想像していたような展開で進行した。
まず第1話で描かれるのはいじめ問題だ。「教師もの」としては定番の導入だろう。陽奈(清乃あさ姫)をはじめとするいわゆる一軍女子の集団は、「いじりキャラ」として彩華(豊嶋花)にちょっかいをかけている。陽奈たちは彩華の予定を無視して強引にカラオケに誘うとか、無理やりショート動画撮影に出演させるとかして、このクラスに「いじめ」が存在していることが示される。

やがて彩華に助けを求められた静は、陽奈たちに説教を仕掛ける。「教師もの」としての見せ場だ。
説教を受けた陽奈は反抗的な態度を取り、静の「暴言」をネットに晒してクビに追い込むと脅しをかける。だが静はそんなことは意に返さず、むしろ教師をクビになれば立場を気にせず陽奈を追い詰められるとして、意外な反撃に出る。元ニートという設定を活かした変化球的展開である。
昨日までニートだった静にとって、教師の立場に執着はないようだ。ある種の「無敵の人」的立場から発せられる歯に衣を着せない説教がアイロニーとなって物語を進めていく……そのような風刺的作劇が期待されるだろう。
ところがこの肝心の「説教」シーンに説得力はほぼない。