神谷浩史のキャリアにとっての『劇場版モノノ怪』 「もしかしたらこれが最後かもしれない」

阿良々木暦は唯一「僕とまったく同じ音で話すかもしれない」キャラ

神谷浩史

――では、ご自身の中で役へのアプローチの変化を感じることはありますか? さまざまな名キャラクターを演じてこられたと思いますが、キャリアを重ねる中での変化をどう捉えていらっしゃるのかが気になりました。

神谷: 基本的には、絵や役割を考えながら「このキャラクターはこういう音で喋りそうだな」とイメージを作っていきます。でも、そのすべてが僕の声ではないんですよね。例えば、「このキャラクターはこんな声で話しそうだな」と思っても、実際には自分の声とは違う音をイメージすることが多いんです。唯一、「これは僕とまったく同じ音で話すかもしれない」と思ったのが、『〈物語〉シリーズ』の阿良々木暦です。 

――阿良々木以外のキャラクターは?

神谷:それ以外のキャラクターは、僕の声とは違うところからスタートして、それをどこまで自分の声や表現を使って近づけられるのかを考えながらアプローチしていました。でも、キャリアを重ねるにつれて、自分の声帯を使って“自分ではない誰か”にアプローチすることの難しさも感じるようになってきて。限界というわけではないんですが、無理に作り込むのではなく、自分の声帯で表現できる範囲をしっかり見極めていかなければいけない時期に入ってきた気がします。僕は器用なタイプではないので、今後は「これはもう僕の声じゃないな」というところから努力してキャラクターに寄せていくのではなく、もっと自然に、自分の持ち味を活かせる方法を模索しなければならないのかな、と。 

――最後に、今年節目となる50歳を迎えられた神谷さんにとって、『劇場版モノノ怪』はどんな意味を持つ作品でしょうか?

神谷: 僕自身、いつまでも作品の中心に立ち続けられるとは思っていないんです。特に劇場の大きなスクリーンで、多くの人に観てもらえる作品に主演として関われるのは、もしかしたらこれが最後かもしれない。そういう思いを抱きながら、一つひとつの作品に向き合っています。キャリアを重ねる中で、少しずつそうした機会を更新している渦中ではありますが、『劇場版モノノ怪』という作品も、そういう覚悟を持って参加させていただきました。本作は全三章ということも発表されています。そう考えると、もしかしたらこの三章を全力で演じ切ることで、その先のキャリアにつながるかもしれない。そんな希望を持たせてくれる作品でもあるのかな、と思っています。

■公開情報
『劇場版モノノ怪 第二章 火鼠』
3月14日(金)全国ロードショー
出演:神谷浩史(薬売り役)、日笠陽子(時田フキ役)、戸松遥(大友ボタン役)、梶裕貴(時田三郎丸役)、細見大輔(坂下役)、黒沢ともよ(アサ役)、ゆかな(サヨ役)、青木瑠璃子(マツ役)、芹澤優(キヨ役)、茜屋日海夏(タケ役)、森なな子(スマ役)、入野自由(天子様役)、津田健次郎(溝呂木北斗役)、種﨑敦美(幸子役)、チョー(時田良路役)、堀内賢雄(老中大友役)、楠見尚己(勝沼役)、堀川りょう(藤巻役)、榊󠄀原良子(水光院役)
総監督:中村健治
監督:鈴木清崇
キャラクターデザイン:永田狐子
アニメーションキャラデザイン・総作画監督:高橋裕一
美術設定:上遠野洋一
美術監督:倉本章、斎藤陽子
美術監修:倉橋隆
色彩設計:辻󠄀田邦夫
ビジュアルディレクター:泉津井陽一
3D監督:白井賢一
編集:西山茂
音響監督:長崎行男
音楽:岩崎琢
プロデューサー:佐藤公章、須藤雄樹
企画プロデュース:山本幸治
主題歌:アイナ・ジ・エンド「花無双」(avex trax)
エンディングテーマ:「渇望」アイナ・ジ・エンド(avex trax)
配給:ツインエンジン、ギグリーボックス
制作:くるせる、EOTA
製作:ツインエンジン
©︎ツインエンジン
公式サイト:https://www.mononoke-movie.com/
15周年記念サイト:https://www.mononoke-15th.com/
公式X(旧Twitter):https://twitter.com/anime_mononoke
公式Instagram:https://www.instagram.com/mononoke_movie_official/
公式note:https://note.com/anime_mononoke/n/ne5d6728e73b7

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