『相続探偵』赤楚衛二が抱えている過去を想起させる台詞 朝永が灰江にお金を貸すワケ

「遺言書って愛する人たちに出す最後の手紙だから」

 『相続探偵』(日本テレビ系)第3話における灰江(赤楚衛二)の言葉に目の覚める思いがした。自分が亡くなる前に、財産を誰にどれだけ譲りたいかを指定しておく遺言書。相続人同士のトラブル防止が主な目的と思われがちだが、誰かにとっては大切な人に生きている間には伝えられなかった思いを届けるための最後の手段なのかもしれない。

 ある日、灰江を“へっぽこ探偵”と呼ぶ人物から事務所に電話がかかってくる。声の主は、灰江のコーヒー仲間である将棋道具店の店主・香車(でんでん)。希少なコーヒー豆を分けてくれると言われ、灰江は朝永(矢本悠馬)と香車の家を訪れることに。香車は早くに妻を亡くしており、現在は猫のまり坊と一人一匹暮らし。まり坊はもともと保護猫カフェ「ルイ16世」にいた猫で、香車が通っているうちに懐いたため、引き取ったという。その保護猫カフェの店長・ソフィー(トラウデン直美)は偶然にも朝永が絶賛片思い中の女性だった。

 そんな運命的な繋がりに朝永は舞い上がるが、香車が亡くなったという報せが。灰江たちが家を訪れてから、わずか3日。虚血性心疾患で帰らぬ人となってしまった。何があるか分からないのが人生。だからこそ、元気なうちに遺言書を作成しておく必要があるのだ。

 幸いにも香車は灰江に促され、遺言書を作成していた。ところが、その内容は「すべての財産をマリーアントワネット様に遺贈します」という不可解なもの。ずっと疎遠だった一人息子の金斗(和田聰宏)は香車の物忘れが進んでいたことを理由に遺言書をなかったことにしようとするが、「あんたの遺産は泣かせないぜ!」と立ち上がるのは灰江……ではなく、今回は朝永。

 香車と生前関わりがあったソフィーのためにも遺言書の謎を明らかにしようと朝永は奮闘し、まり坊の本当の名前がマリーアントワネットであることを突き止める。今日、大事な家族の一員として考えられているペット。しかし、民法上では残念ながら“物”として扱われており、ペットに遺産を相続させることはできない。一方で、ペットの世話をする人に財産を残すことは可能なのだ。今回は遺言書を勝手に破棄したら5年以下の懲役刑に科せられることも作中で語られており、かなり勉強になる。だが、香車は誰にまり坊を遺贈する相手に関しては指定していなかった。そうなると、やはり遺言書は無効に。

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