東山奈央、『SAKAMOTO DAYS』人妻役の衝撃 ギャルでも負けヒロインでもない“新境地”に
東山奈央といえば当代きっての人気声優の1人。これまでさまざまな人気キャラクターを演じてきたが、1月から始まった2025年冬アニメでは、「新境地」と言いたくなるような役柄に挑戦している。それは『SAKAMOTO DAYS』の坂本葵役だ。
『SAKAMOTO DAYS』は鈴木祐斗が『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載している同名マンガが原作で、1月11日からテレビ東京系ほかにて放送中。元・伝説の殺し屋である坂本太郎が愛する家族との平和な日常を守るため、人知れず刺客との戦いを繰り広げていく……というストーリーとなっている。
そこで東山が演じているのが、坂本の妻・葵役。やさしく気丈な一児の母だが、特別な能力をもっているわけではなく、戦闘に参加することもない。戦う男たちとは対極にいる、“平凡な幸せ”を象徴するような存在と言えるだろう。
東山はそんな葵の役を演じるにあたって、あえてお得意のヒロイン声を封印し、母性を感じさせる声を出しているように聞こえる。たとえば第1話には、とても印象的なシーンがあった。
同エピソードでは殺し屋時代の部下・朝倉シンが、組織の命令によって坂本を始末しにやってくるのだが、あえなく返り討ちに。そして彼は坂本家のベッドの上で目を覚まし、葵から一緒に晩御飯を食べていかないかと誘われる。そこで葵が口にする「よかったら、ご飯食べてって! お米は大盛り? 特盛り? メガ盛り?」というセリフには、強烈な“人妻”感があった。
また、第2話で描かれた回想シーンでの演技も印象深い。坂本が現役の殺し屋だった頃、葵は彼が血まみれの姿でデートの待ち合わせにやってきたことに激怒。自ら崖から身を投げ、人の命を大切にすることを教える。
抑制のきいたやさしい声色で、「ほらね。あなた今、私が死んだら悲しいって思ったでしょ」「分かる? あなたが私を助けたいって思ったように、どんな人も誰かにとって大切な人なの」と訴えかける姿は、もはや聖母のよう。東山はその演技力によって、“歴戦の殺し屋に足を洗わせる恋人”を見事に表現してみせた。
ところで東山がこうした妻の役を演じることに、意外性を感じている人もいるかもしれない。というのも今までのキャリアを振り返ると、明るくはつらつとした美少女キャラなど、正反対の役柄を数多く演じていたからだ。