『まどか26歳』が描く現代に必要な考え方 芳根京子と鈴木伸之の関係性に変化も

「この仕事でしか見れない世界があった」

 研修医としての働き方や関わり方に戸惑っていた主人公の若月まどか(芳根京子)が、初めて手術の執刀に当たることになった『まどか26歳、研修医やってます!』(TBS系)第2話。

 地獄のカンファレンスでは患者のカルテを暗記できておらず、資料を見ながらの発表にも鋭い質問や指摘が飛び交いタジタジのまどか。外科医の西山(赤堀雅秋)からは、自分たちの時代には患者のカルテはすべて暗記するものだったと嫌味を言われ、「俺たちの時代は」が連発される。

 定時帰りに向けられる白い目も飲み会で親睦を深める“飲みニケーション”もお酌もかつての激務自慢にも辟易しながらも、9時〜17時の定時で業務だけでなく自身の勉強までを網羅する難しさに頭を抱える。恋人の直人(渡邊圭祐)が言う「義務感や責任感につけ込んだ搾取」という言葉にも心慰められることはなく、なんだかモヤモヤが募る。

 「いつまでも俺たちの時代が続くと思うなよ。化石オヤジ」と悪態をつきながらも、まどかたち研修医を叱咤激励する内田先生(森カンナ)もきっと同じ葛藤を乗り越えて、自分でやり方を見つけ乗り越えてきた側の人なのだろう。だからこそ内田先生は地獄のカンファレンスの乗り越え方について具体的な方法は示さず、「自分で考えるように」とまどかに言い渡す。

 カルテを暗記するなんて電子カルテのご時世に時代錯誤で悪しき慣習、軽くいじめだと不満を漏らしていた研修医たちだったが、サーバーがダウンし電子カルテが閲覧できない状況下でも、回診で患者の検査結果や数値を空で言える先輩医師の姿に圧倒され、西山の言うことも一理あると認めざるを得なくなる。きっともともと先輩方も「俺たちの時代は」から始まる苦労話ばかりを振りかざしたいわけではなく、まどかたちもまた先輩たちが言う通りにできた方が絶対に良いに違いないことも頭ではわかってはいる。しかし、現実的に勤務時間や働く環境が変わった今、なかなか当時と同じようにはいかないし、先輩方の足跡をそのまま追いかけることができない場面もある。定時で帰って好きなことに費やす時間も大切にしながら、医師としての自己研鑽も忘れない研修医2年目の多田(岩男海史)が、電子カルテ入力時にコピペしたものを登録するのではなくきちんと自分の手を動かすことで、業務時間内でカルテ内容の記憶を叶えていたように。

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