奈緒がミドリ髪の主人公で新境地 『東京サラダボウル』は他者を思いやるきっかけの一作に

奈緒がミドリ髪の主人公で新境地

 筆者は完成試写会にて一足先に第1話を視聴しているが、驚くのが45分の尺の中で様々な言語がこれでもかというほどに飛び交うこと。もしかしたら、日本語の方が少ないのでは? というほどに、常に字幕が表示されている印象を受けた。改めてだが、警察通訳人とは外国人が絡む事案や手続きにおいて、警察官と被疑者や参考人の間をつなぐ通訳を務める人。外国人の習慣や文化背景の知識、聞き漏らさない高い集中力が求められる。また、話者の発言を区切りごとに全ての言葉を一言一句そのまま訳す逐次通訳を有木野は行っており、言葉に滲む感情やニュアンスも正確に訳さなければならない。演じる松田龍平は、今回初めて中国語を勉強しており、役作りには相当の時間と努力が費やされていることは想像に難くない。

 有木野だけでなく、同じ警察通訳人として黒須雄介(関口メンディー)は英語、今井もみじ(武田玲奈)はベトナム語、清宮百合(イモトアヤコ)はシンハラ語を担当しており、事前番組では基礎から指導を受けている姿が映し出されている。第1話では有木野の中国語がメインとなっているが、今後回を重ねるごとに言語がさらに増えた“サラダボウル”が形作られていくのだろう。

 コロナ禍を経て、ますます外国人居住者が増えていることを実感する東京。コンビニに行くとレジは外国人、チェーン店は外国人のワンオペということもしばしばだ。口数の少ない俯き加減の接客に目が止まりながらも、自分がもし同じ立場だったらどうだろうか、と相手を思いやるきっかけの一歩を作る、『東京サラダボウル』はそんな作品になっているように思う。

■放送情報
ドラマ10『東京サラダボウル』(全9回)
NHK総合にて、1月7日(火)スタート 毎週火曜22:00〜22:45放送
NHK BSP4Kにて、毎週火曜18:15〜19:00放送
再放送:NHK総合にて、毎週木曜24:35〜25:20放送
出演:奈緒、松田龍平、中村蒼、武田玲奈、中川大輔、絃瀬聡一、ノムラフッソ、関口メンディー、朝井大智、張翰、許莉廷、喬湲媛、Nguyen Truong Khang、阿部進之介、平原テツ、イモトアヤコ、皆川猿時、三上博史
原作:黒丸『東京サラダボウルー国際捜査事件簿―』
脚本:金沢知樹
音楽:王舟
メインテーマ曲:Balming Tiger
メインビジュアル・デザイン:大島依提亜
メインビジュアル・スチール撮影:垂水佳菜
演出:津田温子(NHKエンタープライズ)、川井隼人、水元泰嗣
制作統括:家冨未央(NHKエンタープライズ)、磯智明(NHK)
プロデューサー:中川聡子
写真提供=NHK

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「コラム」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる