西垣匠、フェンシングが活かされた芝居の距離感 今の“目標と夢”への思いも明かす
TBS系日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』でホスト役・ライトに挑戦中の西垣匠。『ドラゴン桜』(TBS系)以来、約3年ぶりとなる日曜劇場、そして演出・塚原あゆ子との再会はかけがえのない喜びだったという。脚本の野木亜紀子、プロデューサー新井順子と名だたるクリエイター陣に囲まれ、充実した撮影現場に立つ西垣は、「プレッシャーよりも感謝の気持ち」と語る。ホストの世界観に新たな視点を加える実際の監修者のアドバイスや、フェンシング経験で培った“距離感”の捉え方も生かしたという彼の熱意に迫る。
再びの日曜劇場、塚原あゆ子監督との再会
――西垣さんにとって『ドラゴン桜』以来3年ぶりとなる日曜劇場。さらに今回は、脚本・野木亜紀子さん、演出・塚原あゆ子さん、プロデュース・新井順子さんによる期待作ですが、出演にあたりプレッシャーなどありましたか?
西垣匠(以下、西垣):プレッシャーを感じることはなくて、この作品に出られることが純粋にうれしいな、本当にありがたいなという気持ちでした。日曜劇場に出演できることはもちろん、デビュー作『夢中さ、きみに。』(MBS)の塚原監督にもう1回呼んでいただけたことがものすごく嬉しくて。全力でお力添えできれば、という思いで臨んでいます。
――実際、撮影に入ってみていかがですか?
西垣:すごく楽しいです。僕は神木隆之介さんと宮本信子さんとのシーンが多いので、勝手にピリッと引き締まっていて。なかなかご一緒することのない方々なので、いい緊張感で撮影に臨めているかなと思います。
――ライトをどんな人物だと捉えて演じていますか?
西垣:神木さん演じる玲央はぐでっとゆったりしていて、逆にライトは明るくてお喋りなタイプ。クランクインは2人で歌舞伎町の階段に座ってだべっているシーンで、演出的にも“ただスマホを見ながらずっと喋っている”というものだったんです。携帯を触りながら話すときって、あまり話を聞いていなかったりして、変に間があいちゃったりするじゃないですか。それをやってほしいと言われて、キャラクターを作るというよりは、その辺にいる2人の会話を作っていくような感覚でした。
――バリバリのホストではなく、なるべく自然体で演じられていると。
そうですね。玲央もライトも売れないホストなので、外で声をかけるしかないし、ギラギラ感やハングリー精神みたいなものをあまり持ち合わせていない。内藤秀一郎くん演じるミカエルはキラキラしていますけど、僕ら2人はぼーっと生きているのかなと思います。
――役でホストという仕事を経験してみた感想は?
西垣:メンタルが強いなと思いました。第1話で女の子をナンパしてフラれるシーンがあるんですけど、それが日常茶飯事になると心が折れちゃいそうで。僕は、あまりホストには向いてないんじゃないかなと思います(笑)。
――撮影現場の様子も教えてください。
西垣:僕と神木さんのシーンは比較的ゆるいので、みなさん楽しく撮影していますね。実際に歌舞伎町で撮っているので、本職の方々を見かけて「あんな感じなんですね」と話しながら。やっぱり歌舞伎町ってすごいなと思いました(笑)。
――役作りの参考にされることも?
西垣:実際のホストの方が監修で来てくださったので、台本に書いてあることにプラスアルファで“絶対に女の子が振り向いてくれるセリフ”とかを教えてもらいました。それを聞いて、2人で「じゃあこうやって言おうか、ああやって言おうか」と相談させていただく感じでしたね。
――実際にどんな言葉なのでしょう?
西垣:「君かわいいね」とかだと絶対にホストだとバレちゃうので、「お姉さん久しぶり」か「お姉さんハンカチ落としたよ」。これは絶対に振り返るらしいです!
――なるほど(笑)。内面的な部分に関しては、ふだんからどう役づくりをされているんですか?
西垣:僕はまず書きます。台本をいただいたらバーッと読んで、受け取った印象をとにかく書く。頭で考えるより、実際に見たり、聞いたり、書いたりする時間が多ければ多いほど、役が自分の中に入ってくる感覚が強いんです。なので、特徴を書き出したり、関係図を書いてみたり、最初はほとんど殴り書きですね。たとえば「明るい」とか「優しい」とか、そういうざっくりしたものから、「どう明るいのかな」「どう優しいのかな」と、どんどん細かくしていくようなイメージです。
――それは、最初からやられていることなんですか?
西垣:そうですね。ただ、徐々により深いところまで考えられるようになってきたかな、とは思います。最初から書くこと自体はやっていたけど、書いていることの内容が変わってきている気はしますね。
――この作品を通して、あらためて感じた俳優の面白さや難しさはありますか?
西垣:難しさは毎度毎度感じているんですけど、お芝居をやってみて「いいね」と言われるよりも、塚原監督から「もうちょっとこうできる?」と言われたときのほうが、緊張感やヒリヒリする感覚があって楽しいです。もちろん自分なりに考えていますけど、そこに味付けをしてくださるというか。それから神木さんとのシーンでも、喋っていて間が空いたり、セリフの話し始めがかぶっちゃったりしても、日常では普通のことだからカットがかからない。そういうドキドキもあるんですよね。本当にやり取りしている感覚が、僕はすごく楽しいです。