安室奈美恵にセーラームーン、『おむすび』に刻まれる1994年 寺本莉緒の登場に波乱の予感

『おむすび』で描かれる1994年の安室奈美恵

 過去に博多ギャル連合(ハギャレン)として活動し、伝説のギャルとして知られる姉・歩(仲里依紗)が突然米田家に帰ってきた。ハギャレン時代の歩は金髪でド派手なメイクをしていたが、現在はその面影はなく黒髪で落ち着いた見た目をしていた。久しぶりの歩との再会に歓迎ムードかと思いきや、聖人(北村有起哉)も結(橋本環奈)もどこかぎこちない。歩の態度からは家族の勢力図のようなものが見えてくる。

 『おむすび』(NHK総合)第17話で描かれたのは、神戸で過ごしていた結の記憶。それは結と歩との会話でも登場した“真紀ちゃん”との記憶でもあった。

 物語は10年前の1994年10月へと遡る。神戸の昔ながらの商店街で「バーバー米田」を経営していた聖人と愛子(麻生久美子)。当時、5歳の結は『りぼん』や『ちゃお』、『なかよし』といった少女漫画が大好きで、鏡の前では憧れのセーラームーンになるために必死におめかしをしていた。歩の親友である渡辺真紀(大島美優)が部屋に来ると、すぐに駆け寄り抱きつく結。真紀に対しては相当懐いているようだ。

 そんな時、真紀が安室奈美恵の「PARADISE TRAIN」を流す。1994年10月といえば、安室がブレイクするきっかけとなった「TRY ME 〜私を信じて〜」がまだリリースされる前。「PARADISE TRAIN」をリリースした当時は「安室奈美恵 with SUPER MONKEY’S」として活動していた。「そのうちもっと人気出るわ」と語る真紀に対し、歩は「真紀ちゃんが言うなら間違いないな」と確信していることからも、真紀は音楽に詳しかったのだろう。まさに先見の明ありである。

 1階の店舗では常連の小学校教師・大崎彰(内海崇)、惣菜店を営む佐久間美佐江(キムラ緑子)、テーラーの店主・高橋要蔵(内場勝則)らがいた。「好き嫌い言うてたらウルトラマンになられへんで」ととんちんかんな発言をする要蔵に「ウルトラマンちゃう! セーラームーンや。おっちゃん、月に代わってお仕置きすんで」とセーラームーンのポーズをして抵抗する結が微笑ましい。「バーバー米田」は商店街の人の憩いの場になっていたのだろう、理髪店とは思えないかなり賑やかな店舗である。

 そこに神戸市職員・若林建夫(新納慎也)と整体院院長・福田康彦(岡嶋秀昭)がやってくる。若林は「さくら通り商店街アーケード設置計画」が動き出していることを告げ、その責任者に聖人が選ばれたのだった。だが、アーケードの設置には莫大な費用がかかり、当然お金を出し渋る人間もたくさんいるだろう。それでも商店街で人望のある聖人であれば上手くやってもらえる可能性が高いと踏んでいた。最初は難色を示していた聖人だったが、若林と福田、美佐江のもうプッシュを受けて引き受けることに決めた。結の頼まれごとを断れない性格は聖人から来ているのかもしれない。

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