『バズ・ライトイヤー』に込められた名作SFへのオマージュ 大人にも刺さる重厚なテーマ

『バズ・ライトイヤー』名作SFへのオマージュ

 ピクサー製作による人気アニメーション映画『トイ・ストーリー』は、子ども部屋から飛び出したオモチャたちが大冒険を繰り広げるシリーズ。そのスピンオフとも言える映画『バズ・ライトイヤー』が、9月27日に『金曜ロードショー』(日本テレビ系)で放送されることを機に、本作の魅力や見どころを紹介したい。

『バズ・ライトイヤー』ってどんな映画?

 主人公のバズ・ライトイヤーは、有能なスペースレンジャーだが、彼のミスが原因で、1000人以上もの乗組員が危険な惑星から脱出不可能になってしまう。本作は、彼らを救出して地球に帰還させると決意したバズが、危険なミッションに挑んでいくというストーリー。

 まず、注目すべき点としてバズは、『トイ・ストーリー』でアンディが夢中になっている映画の登場キャラクターであり、『バズ・ライトイヤー』ではアンディが劇中で観ていたバズの冒険を、観客も作品として楽しめるというところだ。映画の中の映画というメタ的な設定は、ピクサー作品のなかでも新感覚かつ画期的だと言えるだろう。

『トイ・ストーリー』とはスケールがケタ違い

 さらに、アンディの部屋やオモチャ屋などで物語が繰り広げられる『トイ・ストーリー』シリーズとの大きな違いとして、『バズ・ライトイヤー』は壮大な宇宙が舞台になる点が挙げられる。自分の失態で大勢の仲間を危険にさらしてしまったバズに課された救出ミッションの規模は、本家シリーズと比べたらケタ違いで、その分、ミッションを成功させなければならないプレッシャーも重くのしかかる。

 時に自分勝手な行動を取ってしまうバズが、そのプレッシャーや仲間に対する良心の呵責をいかに乗り越え、ヒーローとして成長していくかも大きな見どころの一つとなっている。そのほかにも、バズの個人的な成長や自己の探求だけでなく、彼に協力する猫型ロボット、ソックスとの友情やチームワークの大切さも観客の心に訴えかけてくるはずだ。

重厚なテーマやメッセージが込められた映画

 また、ネタバレを控えつつ説明すると、バズはミッションの過程で時間を操るのだが、その結果として起こる出来事や展開を目にすれば、今を生きることがどれほど大切であるかを痛感するに違いない。『バズ・ライトイヤー』は単なるSFアドベンチャーではなく、ヒューマンドラマとしても大きな見応えがあり、人生の意味を考える機会になるかもしれない。『トイ・ストーリー』シリーズでは取り上げられなかった少し重厚なテーマを扱いながらも、アクションも満載でテンポ良く物語が進み、普段はアニメーション映画を観ないという、少し年齢が高い層にも刺さるポップコーン映画になっている。

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