『無能の鷹』が示したリモートワークの可能性と課題 “鶸田”塩野瑛久の不穏なエピローグも

『無能の鷹』が示したリモートワークの是非

 基本的には肩の力を抜いて観られるドラマだけど、意外に働くことの本質を突いてくる『無能の鷹』(テレビ朝日系)。第6話は、いまや働き方の一つとして定着しつつある“リモートワーク”について考えさせられるエピソードが満載だった。

 鷹野(菜々緒)の圧倒的な有能オーラが巻き起こす奇跡と、鶸田(塩野瑛久)の真面目な働きぶりのシナジーによって次々と契約を勝ち取ってきた二人。入社半年が経ち、彼らは初めて大きな案件を任されることになり、鶸田は張り切っていた。しかし、クライアントとの打ち合わせ当日、うっかり鷹野に道案内を任せてしまった鶸田。気づくとそこは、栃木県日光市にある「東武ワールドスクエア」だった。

 もちろん、目的地とは全然違う場所で鶸田は焦るが、予定をリモート会議に変更して難を逃れる。だが、今回の取引先である老舗お菓子メーカーの社長・貝塚(ソニン)は直接会える人としか仕事をしない主義。この圧倒的に不利な状況を覆したのは、二人がいる場所と鷹野の名言……っぽく聞こえる言葉だ。

 東武ワールドスクエアは世界の遺跡や建築物を、25分の1スケールで再現したテーマパーク。画面越しのため、細かい部分まではっきり見えなかった貝塚は二人が海外にいると勘違い。そんな貝塚から広い世界を相手にするのは怖くないのかと聞かれた鷹野はこう言い放つ。

「充分歩き回れる距離ですよ、このワールドは」

 そりゃそうだ。鷹野は見たまんまの事実を口にしているだけなのだが、失敗を恐れて狭い世界に留まってきた貝塚にとっては、目の覚めるような台詞だった。背中を押された貝塚はTALONの業務システムを導入し、関東を一気に飛び出して海外にビジネスを展開する。インターネット環境さえあれば、世界中の人と仕事ができるという意味では、鷹野の台詞も案外、本質を突いているかもしれない。

 三密回避が叫ばれたコロナ禍を機に、多くの企業で導入されたリモートワーク。働く場所や時間の制約を取っ払って、いろんな可能性を広げてくれた一方で、 課題点もあった。その一つが、社内コミュニケーションの希薄化だ。在宅勤務になって会社の人と全く会っていない、もはや顔と名前も一致しないという人もいるのではないだろうか。

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